2004 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤標的としてのアデノシルホモシステイナーゼの構造‐活性相関の解析
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16590220
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
五味 知治 富山医科薬科大学, 実験実習機器センター, 助教授 (40135033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 宏文 富山医科薬科大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (30111743)
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Keywords | アデノシルホモシステイン / アデノシルホモシステイナーゼ / NAD結合 / 自殺様反応 / 反応機構 / 部位特異的変異導入 / X線解析 / 立体構造 |
Research Abstract |
アデノシルホモシステイナーゼにおける酸化還元反応と加水分解反応の統合機構をより明確にして酵素触媒に関してより深く理解するとともに、本酵素を標的とした各種薬剤の分子設計への指針を得ることを目的として解析を行い、以下のような知見が得られた。 1.触媒機構の解析 (1)C3'酸化反応:先の解析で、基質の3'-OH水素の引き抜きに直接関与する残基としてLys-185が想定されたが、別途進めている結晶構造解析の専門家との共同研究により、変異酵素K185NのNAD^+型酵素のアデノシン(Ado)複合体の立体構造が解明された。その構造は、遊離ホロ酵素のOpen構造と基質類似体複合体のClosed構造との中間であった。詳細な検討により、Open構造からClosed構造への移行に伴ってLys-185のN_Zの環境が変化し、生じた中性N_Zによる3'-OH水素の引き抜きによってNAD^+によるC3'の酸化が促進されることが裏づけられた。 (2)C5'-S_Dの切断:活性中心に存在するHis-54、His-300、及びHis-352への変異導入解析により、His-54が酸・塩基触媒として作用してC5'-S_Dの切断・結合に関与することが明らかになった。 2.NAD結合部位と結合特異性の解析 計画で掲げたこの解析については、Adoリボースの2',3'-OHに水素結合すると推定されるGlu-242、及びニコチンアミド環の結合に関与するAsn-345への変異導入による検討を進めている。 3.自殺様反応とヌクレオシダーゼ活性との関連 NADH型酵素によるAdoの分解反応について、天然型酵素を用いて先ず反応生成物の同定を行った。アデニン(Ade)環部については、HPLC法によりAdeの生成が確認されたが、リボース部については未同定である。今後、質量分析による解析を予定している。
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