2006 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤標的としてのアデノシルホモシステイナーゼの構造-活性相関の解析
Project/Area Number |
16590220
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
五味 知治 University of Toyama, 生命科学先端研究センター, 助教授 (40135033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 宏文 富山大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教授 (30111743)
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Keywords | アデノシルホモシステイナーゼ / アデノシルホモシステイン / 反応機構 / 自殺様反応 / 部位特異的変異導入 / 立体構造 / 薬剤標的 / AHCYL |
Research Abstract |
1.自殺様反応とヌクレオシダーゼ活性 昨年度までに、NADH型酵素がアデノシンを分解し、生成物アデニンが酵素蛋白質に結合していることが判明したが、酵素と生成物の化学量論的検討の結果、酵素はターンオーバーしていないと考えられる。酵素をNADH型に変換する2-デオキシアデノシンの場合も同様なので、ヌクレオシダーゼへの変換には基質類似体に加えて補酵素類似体の検討が必要と考えられる。 2.必須残基と反応機構 研究過程で、アデノシルホモシステイナーゼ(AHCY)類似蛋白質であるAHCYLの解析が本研究の遂行に有用であるとの着眼を得た。AHCYLは、AHCYと相同性を示す領域とN末端100残基程度の高親水性領域から成り、免疫系抗原提示細胞の分化やイノシトールリン酸系の情報伝達に関与すると報告されているが、その酵素学的な検討はほとんどなされていない。 既知3種のAHCYLと40種のAHCYの詳細な一次構造比較の結果、我々が先に明らかにした4残基の触媒残基は完全に保存されており、補酵素と基質結合に関する主要な残基も保存されていた。 そこで、AHCYLの大腸菌での発現系を確立して酵素学的解析を行った。 (1)C末端にHisタグを付けた場合、AHCY相同領域も全長AHCYLもAHCY活性を示さなかった。 (2)C末端にHisタグを付けた天然型AHCYでも活性は検出されなかった。 (3)N末端にHisタグを付けた天然型AHCYは活性を示した。 (4)予備的なゲル濾過分析で、(2)の場合は四量体形成が推定され、(3)の場合には二量体に近い位置に溶出された。 AHCYでは、N末端領域が活性型四量体の形成に重要と考えられて来たが、活性発現とオリゴマー形成に関しては更なる検討が必要と考えられる。現在、N末端にHisタグを付けたAHCYLの発現を進めており、今後その詳細な解析を行う。
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