2004 Fiscal Year Annual Research Report
感染から生体を守るファゴサイト-シスの分子機構の解明:自然免疫におけるチロシンリン酸化の機能解析
Project/Area Number |
16590229
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
通山 由美 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (70362770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山村 博平 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90030882)
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Keywords | ファゴサイトーシス / 食作用 / 補体 / C3bi / チロシンキナーゼ / Syk / RhoA |
Research Abstract |
食細胞による初期感染防御の分子機構を解明するため、補体を介した食作用の実験系を確立した。食細胞として、マクロファージ様に分化したヒト白血病細胞株HL60(ビタミンD3+TPA、3日間)を、感染微生物のモデルとしてZymosanを用い、ヒト血清中での補体活性化機構を利用してC3biで標識した。動画解析により、C3biで標識された場合のみ、ZymosanがHL60に速やかに捕捉され、吸い込まれるように貪食されることを確認した。また、この過程でチロシンキナーゼSykが活性化した。補体を介した食作用におけるSykの寄与を検討するため、優性抑制型SykおよびSyk-siRNAの安定発現株を作製した。 貪食評価法として、1.フローサイトメトリーによる蛍光Zymosanの接着または取り込みの計測、2.食胞内Zymosanの定量的解析、3.食胞とリソソームの融合の解析をおこなった。 1.の解析法により、Sykを抑制した両変異株ではC3bi-Zymosanの接着または取り込みに抑制効果が認められた。また2.の食胞内Zymosanの定量的解析により、野生型HL60では、補体受容体CR3に結合したC3bi-Zymosanはすみやかに食胞内に輸送されるが、Sykを抑制した両変異株では、ほとんど輸送されないことがわかった。3.リソソームとの融合の解析においても両変異株で阻害されていることを確認した。そこでこのプロセスに関わるSyk下流のシグナルを解析した。野生型HL60細胞では、C3bi-CR3を介した貪食によりRhoAの活性化が認められたが、Sykを抑制した両変異株ではその活性化が阻害された。補体依存性の食作用において、SykがRhoAを介して、C3bi標識微生物と補体受容体CR3の結合ではなく、引き続いておこる細胞内への取り込み、食胞輸送に必須の役割を果たす事を明らかにした。
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Research Products
(2 results)