2005 Fiscal Year Annual Research Report
光老化ならびに癌化防止におけるSOD1の役割の遺伝子欠損マウスを用いた解明
Project/Area Number |
16590238
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
藤井 順逸 山形大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00222258)
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Keywords | SOD1 / ケラチノサイト / グルタチオン / 一重項酸素 / アポトーシス / チトクローム-c |
Research Abstract |
一重項酸素は強力な細胞傷害作用を有し、ミトコンドリアからのcyt-c流出を促進した。cyt-cは通常アポトーシスを誘導するが、一重項酸素処理した細胞ではアポトーシス経路は抑制されていた。その原因の一つは、一重項酸素によるcyt-cの酸化がある。また一重項酸素は、カスパーゼならびにカテプシンといったアポトーシス経路にかかわるプロテアーゼを不活性化した。 DNAや脂質については酸化ストレスによる傷害マーカーが確立されているが、タンパクについては適切なものがない。4種類のアミノ酸(Trp, His, Met, Tyr)の酸化体について調べた結果、TrpからはN-formylkynurenine(NFK)が生成した。NFKに対する抗体を作成したところ、NFKのみならず代謝中間体として生じるkynurenineをも認識することが分かった。このような抗体の報告はこれまでになく、本抗体を免疫組織化学に応用することで、Trpの酸化修飾とkynurenineの生成に関する情報が得られると考える。また、日本住血吸虫のGSTをビオチン化し、これをプローブとしてグルタチオン化タンパクを検出する系を確立し、タンパクのグルタチオン化の解析を簡便に行うことが可能となった。 SOD1欠損マウスを長期間飼育すると、脾腫ならびに貧血の発症が認められた。また、ほぼすべての個体で顔面皮膚に炎症が見られたが、その発症は抗酸化剤のN-アセチルシステインの投与で著しく遅延された。新生仔皮膚より単離・培養したケラチノサイトを用いた検討では、SOD1欠損細胞では接着性が低下しており、培養には血清成分を必要とすることが分かった。SOD1欠損マウスは通常の飼育下では目立った表現型は示さないとされていたが、長い期間に渡る観察結果から、SOD1欠損マウスはこのように老化に似た症状を示す事が分った。
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