2004 Fiscal Year Annual Research Report
Ras・ヒト発癌過程における活性酸素癌遺伝子Nox1の役割
Project/Area Number |
16590242
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
鎌田 徹 信州大学, 医学部, 教授 (40056304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安逮 喜文 信州大学, 医学部, 助教授 (50201893)
篠原 正浩 信州大学, 医学部, 助手 (60345733)
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Keywords | Nox1 / Ras / 活性酸素 / 癌 / RNAi / MAPkinase / 転移 / 情報伝達 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ヒト悪性腫瘍の多段階発生機構における活性酸素産生遺伝子Nox1の媒介的役割をRas発癌モデルを用いて解明し、癌治療の方法的基礎を築くことにある。我々は、既にRas-MAPK経路によって誘導されるNox1の産生するsuperoxideが、Rasの癌化形質に必要であることを明らかにした。この知見は、過度のROSがtoxicに働くという従来の考えと異なり、Nox1によって産生されるROSが、ヒト腫瘍形成においても、signal分子として、重要な媒介的役割を果たすことを示唆する。しかし、これに関しては憶測の域を出ておらず、またNox1作用の分子機構、情報伝達経路には未解明な部分が多い。こうした現状を踏まえ、本研究では1)ヒト癌におけるNoxファミリーの媒介的役割の解明、2)Nox1によって産生されるROSの標的蛋白の同定を行った。 研究項目1:Nox1 siRNA, Nox4 siRNAを作成し、Nox1を不活化すると、大腸癌細胞にアポトーシスが引き起こされ、またNox4を不活化すると、メラノーマ細胞の増殖を抑制することが判明した。また、Nox4RNAiを導入したヒトメラノーマ細胞は、ネードマウスでの増殖が抑制された。このことは、Nex4がメラノーマの造腫瘍能を媒介することを示唆する。 研究項目2:Nox1を導入した上皮細胞蛋白を5-IAF標識したのち、ToF-Mass分析を用い、ROSによって修飾をうける蛋白を探索した。その結果、分子量30〜90kDaの4つの細胞質蛋白が有意に修飾をうけることが判明した。現在、これらの蛋白群の癌化における機能的役割の検討を行っている。 以上の結果により、Nox1は、ヒト大腸癌の形成過程にも必須な癌関連遺伝子であり、また、腎臓で正常な生理機能を果たすファミリー遺伝子Nox4も、異所高発現又は活性化されることにより、細胞内ROS産生をうみ、癌細胞の増殖を維持すると考えられる。本研究で、ヒト癌レベルでも、Noxファミリーの産生するROSの重要性が示されたといえる。現在、如何なる情報伝達機構で、ROSが細胞DNA合成を調節するのかを検討中である。困難を極めるROSの下流標的蛋白同定の研究で、幾つかの候補蛋白が単離されたことは、特筆すべきで今後の同定・機能解析の結果が強く待ち望まれる。以上、癌治療の標的を模索する上で今後、Nox本体、及びその情報伝達分子の機能解明の重要性が深まったといえる。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Regulation of Amphiphysinl by Mitogen-activated protein kinase.2004
Author(s)
Shang, W.H, Adachi, Y., Nakamura, A., Copeland, T., Kim, SP., Kamata, T.
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Journal Title
The Journal of Biological Chemistry 279
Pages: 40890-40896
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