2005 Fiscal Year Annual Research Report
b系列酸性スフィンゴ糖脂質欠損マウスにおける網膜変性のメカニズム
Project/Area Number |
16590243
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
古川 圭子 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (50260732)
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Keywords | 酸性糖脂質 / GD3 / 糖転移酵素遺伝子欠損マウス / electroretinogram / 網膜組織 |
Research Abstract |
酸性糖脂質、ガングリオシドは神経系に多く発現し、重要な役割を果たしていると考えられる。我々は現在までに、ガングリオシドの糖鎖を合成する糖移転酵素遺伝子のクローニングを行い、更に、神経系におけるガングリオシドの機能を解明するために種々の糖転移酵素遺伝子の欠損マウス(KOマウス)を作製し、その異常に関する解析を行ってきた。その結果、複合型ガングリオシドは神経系組織の維持と機能遂行、神経細胞の生存および神経修復にとって必須の分子群であることを明らかにした。 本研究では、マウスの網膜ではガングリオシドGD3が特異的に発現しており、網膜組織でも何らかの機能を果たしていると考えられるため、GD3合成酵素遺伝子欠損マウスを用い、網膜組織におけるb系列ガングリオシドの役割について検討してきた。そこで、本年度は以下の結果を得た。 1、野生型及びGD3欠損マウスの網膜および脈絡膜の病理所見の比較 GD3KOマウスをC57BL/6系統マウスに3代戻し交配をし、それらのマウスの眼球を摘出してホルマリン固定後、ヘマトキシリンエオジン染色を行い、網膜組織の異常について検討した。GD3合成酵素遺伝子KOマウスでは野生型マウスに比べて、内網状層および内果粒層が薄く、野生型では内果粒層が4〜5個の細胞で層が形成されているが、GD3KOマウスでは3〜4個の細胞層となっていた。 2、GD3KOマウスにおけるelectroretinogram(ERG)の検討 C57BL/6系統マウスに3代戻し交配をした野生型とGD3KOマウスについて、4〜50週齢マウスのERGを比較検討したが、差異は認められなかった。 マウス網膜においては、神経線維層、内網状層および内果粒層にGD3、GD1bおよびGT1bの強い発現が認められる。b系列ガングリオシドが欠失しているGD3合成酵素遺伝子欠損マウス(KOマウス)では、網膜組織の層構造には異常が認められなかったが、内網状層および内果粒層が野生型マウスに比べて薄層になっていた。以上のことから、b系列ガングリオシドは内網状層および内果粒層の正常な形成に関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(7 results)