2004 Fiscal Year Annual Research Report
グルタチオンS-トランスフェラーゼπの細胞内局在の分子機構
Project/Area Number |
16590247
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
後藤 信治 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (50186889)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井原 義人 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (70263241)
近藤 宇史 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00158908)
|
Keywords | glutathione S-transferase π / oxidative stress / exocyclic DNA adducts / anti-cancer drug resistance / nucleus / mitochondria |
Research Abstract |
研究の目的 申請者らは、がん細胞の薬剤感受性に深く関与するグルタチオンS-トランスフェラーゼπ(GSTπ)が、核内にも存在することを見出した。しかし、GSTπには既知の核移行シグナルが認められない為、どのような機構によって核移行するのか不明である。また、GSTπがミトコンドリアにも存在することが判明したが、どのような機構により移行するのか不明である。そこで、GSTπの核移行機構、ミトコンドリア移行機構を明らかにすることを目的とした。 研究成果 大腸癌細胞のGSTπの核蓄積を阻害すると、過酸化水素対する薬剤感受性が著しく増加し、アポトーシスが誘導されることを見出した。酸化ストレス暴露時には、リノール酸過酸化に由来して生成されるアルデヒドが核酸の塩基を修飾することが明らかとなったが、核GSTπは、この塩基の修飾を抑制することで酸化ストレスから核を防御していることを明らかにした(Free Radical.Biol.Med.2004)。また、臨床検体の免疫組織化学的検討により、核内にGSTπが存在する卵巣癌、子宮体癌、子宮頸癌患者は、細胞質にのみ存在する患者より、予後が不良であること、抗がん剤治療後、核GSTπが陰性から陽性に転化する症例でも、予後が不良であることを見出した(Clinical Oncology、2005, in press)。GSTπの核移行シグナルはC末端領域(182-210)であることが明らかとなった。現在、この領域のどのアミノ酸が重要であるか解析中である。また、GSTπは、ミトコンドリアの膜間腔に存在することを明らかにした。GSTπのN末端領域(1-84)がミトコンドリアへの移行に必須であることが明らかとなった。現在、この領域のどのアミノ酸が重要であるか解析中である。
|
Research Products
(2 results)