2005 Fiscal Year Annual Research Report
新しい核酸修飾塩基8-ニトログアノシンによるシグナル伝達の分子制御機構
Project/Area Number |
16590249
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
芥 照夫 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (00346975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤池 孝章 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (20231798)
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Keywords | NO / 8-ニトログアノシン / cGMP / 8-ニトロcGMP / 抗8-ニトロcGMP抗体 / プロテインキナーゼG / 細胞内シグナル伝達 / レドックスシグナル |
Research Abstract |
本年度の研究においては、新規核酸修飾塩基である8-ニトログアノシンの関連化合物である8-ニトロサイクリックGMP(8-NO_2-cGMP)について、新規有機合成法の確立と細胞内シグナル伝達機構について解析をおこなった。また、抗8-NO_2-cGMP抗体の作製および抗体を用いた免疫組織化学的検出をおこない、以下の知見を得た。 (1)8-NO_2-cGMPの新規有機合成法を確立し、高純度の8-NO_2-cGMPを調製した。これを培養ヒト子宮平滑筋細胞に添加すると、既知cGMPアナログである8-Br-cGMPと同様にプロテインキナーゼGを活性化し、その基質であるVASP(vasodilator stimulated phosphoprotein)の157番目のSerがリン酸化されることを明らかになった。また、ラット頚動脈より採取した血管標本(平滑筋細胞のみ)にα_1アドレナリン受容体アゴニストであるフェニレフリンによる収縮させた後に8-NO_2-cGMPを添加すると、平滑筋を弛緩させることも明らかになった。すなわち、8-NO_2-cGMPは、生体内で全く新しいcGMP誘導体として機能していることが示唆された。これらの成果について、PCT特許出願をおこなった(平成18年2月)。 (2)8-NO_2-cGMPを抗原エピトープとしてマウスモノクローナル抗体とウサギポリクローナル抗体を調製することに成功し特許出願した(平成17年4月)。モノクローナル抗体を用いて免疫細胞化学的に解析をおこなったところ、一例として、マウスマクロファージ由来株化細胞RAW264細胞をIFN-γとリポポリサッカライドの共刺激により誘導型一酸化窒素の発現誘導をおこないNO産生を亢進させると、細胞質が濃染されることが示された。また、培地上清中に含まれる8-NO_2-cGMPが、HPLC-電気化学的方法によりピークとして検出することにも成功し、生体内に8-NO_2-cGMPの存在を世界で初めて明らかにした。 以上より、8-ニトログアノシン関連化合物である8-NO_2-cGMPが生体内のレドックス応答に関与する新しいシグナル分子であることが明らかになってきた。
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