2004 Fiscal Year Annual Research Report
解糖系酵素異常における赤芽球アポトーシスの責任遺伝子同定
Project/Area Number |
16590254
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
菅野 仁 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (70221207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相崎 健一 国立医薬品食品衛生研究所, 毒性部, 研究員 (40322086)
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Keywords | ピルビン酸キナーゼ / 赤血球分化 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
赤血球型ピルビン酸キナーゼ(R-PK)遺伝子に変異を有する赤芽球系細胞株SLC3は継代中にアポトーシスを自然誘発する。低グルコースや2-デオキシグルコース(2DG)添加培養により解糖系を阻害すると、R-PK遺伝子変異を持たない赤芽球にもアポトーシスが誘発され、さらに予めグルタチオン前駆体のN-アセチルシステインで前処置をしておくと、2DGによるアポトーシスが抑制された。SLC3に野生型R-PKを恒常的発現させたトランスフェクタントでは、グルタチオンS-トランスフェラーゼやチオレドキシンのような抗酸化分子の遺伝子発現が低下することがGeneChip解析で明らかになった。また、細胞内活性酸素種(ROS)をDCFH-DA (2',7'-dichlorodihydrofluoresceindiacetate)を用いたフローサイトメトリーで定量したところ、SLC3に比してトランスフェクタントではR-PK発現量依存性にROSの低下が認められた。これらの結果からR-PKは赤芽球細胞内ROSによって誘導されるアポトーシスを抑制する役割を果たしていると考えられた。 解糖系阻害によるアポトーシス誘発機序にp53が関与するかどうかを明らかにする目的で、以下の実験を行った。p53遺伝子破壊マウスと正常対照マウスから胎生16.5日の胎仔肝細胞(ほぼ9割が赤芽球細胞)を採取し、10%FCS、RPMI1640培地にて24時間培養した。24時間後のアポトーシス誘導率はAnnexinVによるフローサイトメトリーで定量した。低グルコース培養による胎仔肝赤芽球のアポトーシス誘導率は、正常対照に比してp53遺伝子破壊マウスで有意に低く、このことから解糖系阻害による赤芽球アポトーシスの誘導にはp53の関与が示唆された。
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Research Products
(1 results)