2005 Fiscal Year Annual Research Report
解糖系酵素異常における赤芽球アポトーシスの責任遺伝子同定
Project/Area Number |
16590254
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Research Institution | TOKYO WOMEN'S MEDICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
菅野 仁 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (70221207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相崎 健一 国立医薬品食品衛生研究所, 毒性部, 研究員 (40322086)
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Keywords | 赤血球 / 溶血性貧血 / 無効造血 / 変異マウス / 造血細胞コロニー解析 |
Research Abstract |
ピルビン酸キナーゼ(PK)異常症モデルマウス(Pk-1^<slc>)の病態解析で、脾臓において著明な赤芽球アポトーシスが観察される。今回、Pk-1^<slc>脾臓および骨髄から分離した単核球を用いて、造血細胞コロニー解析をおこなった。対照として60mg/kgフェニルヒドラジンを2日間皮下投与することにより急性溶血を誘導したCBA系マウス(PHZ)および無処置のCBA系マウス(CBA)を用いた。骨髄中の有核細胞数はPk-1^<slc>、PHZ共CBAとの有意差は無かった。脾臓内有核細胞数はPk-1^<slc>、PHZ共有意な増加を認めたが、Pk-1^<slc>でより著明であった。骨髄単核球を用いた造血細胞コロニー解析では、CBAに比してPk-1^<slc>、PHZ共CFU-Eの有意な増加を認めたがPk-1^<slc>とPHZとの間には差が無かった。一方、脾臓単核球の造血細胞コロニー解析では、Pk-1^<slc>においてCFU-E、BFU-E、CFU-GMおよびCFU-GEMMの増加が顕著で、CBAに比べて10〜30倍もの前駆細胞数を認めたが、PHZではCBAの数倍程度の増加であった。脾臓切片を用いたTUNELアッセイでは赤脾髄で著明なアポトーシス細胞の増加を認めるPk-1^<slc>と対照的にPHZにはTUNEL陽性アポトーシス細胞の増加は認められなかった。脾臓単核球から得たBFU-Eコロニー細胞を用いて、Annexin V-Ter119の二重染色によるtwo colorフローサイトメトリーを施行したところ、CBAではアポトーシス赤芽球が5.8%であったのに対し、Pk-1^<slc>では33.6%とアポトーシス赤芽球の著増が観察された。脾臓単核球中カスパーゼ3および8活性をTer119陽性細胞分画で比較検討したところ、PHZではCBAと有意差は無く、Pk-1^<slc>においてはカスパーゼ3および8共にCBAの4倍もの活性上昇を認めた。以上の結果から、マウス赤血球/肝臓型PK遺伝子(PKLR)の点突然変異は赤芽球の成熟過程で障害を来し、その一部はアポトーシスにより死に至ること、すなわち無効造血が生じていることが明らかになった。脾臓における髄外造血の亢進は赤芽球系のみならず、顆粒球・マクロファージ系にも認められるが、アポトーシスは赤芽球系に特異的であり、さらにPHZマウスでは脾臓内造血細胞コロニーの増加は軽度でカスパーゼ活性低下も有意では無かったことから、赤芽球成熟過程で赤血球型PKは抗アポトーシス作用を有していると結論した。
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Research Products
(2 results)