2004 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素による不忠実DNAポリメラーゼ発現制御とその生物学的意義の解析
Project/Area Number |
16590257
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
竹永 啓三 千葉県がんセンター, 化学療法研究部, 主席研究員 (80260256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越川 信子 千葉県がんセンター, 病理研究部, 上席研究員 (90260249)
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Keywords | 低酸素 / 突然変異 / DNA polymerase ι / HIF-1 |
Research Abstract |
初年度は、低酸素により損傷乗り越えDNA polymeraseの発現が上昇するのか、またその場合hypoxia-inducible factor-1(HIF-1)が関与するのかどうかを検討し、以下の結果を得た。 1)HepG2細胞および種々のがん細胞を1%O_2下で0-24時間培養した後、損傷乗り越えDNA polymeraseη、ι、κおよびμの発現を半定量RT-PCRで検討したところ、DNA polymerase ι(Pol ι)の発現が亢進することを見出した。Pol ιの発現は、低酸素を模倣する薬剤であるdesferrioxamineやCoCl_2処理でも増加した。 2)Pol ι遺伝子の転写制御領域を含む領域(-1345/+419)を用いたレポーターアッセイにより、転写活性が低酸素およびconstitutive active HIF-1αに応答し上昇すること、低酸素による転写活性の上昇がdominant negative HIF-1αにより抑制されることを見出した。 3)この領域中に存在する4カ所のputative hypoxia-response elementに変異を導入したレポータープラスミドを用いたアッセイおよびゲルシフトアッセイの結果から、intron1中に存在するACGTG配列(+331/+335)が低酸素応答に最も重要であることを明らかした。また、クロマチン免疫沈降法により、この塩基配列にHIF-1が結合することを確認した。 以上の結果より、低酸素下でHIF-1によりPol ι遺伝子の発現が亢進することが明らかになった。次年度は、低酸素によるPol ιの発現亢進が低酸素/再酸素化後の突然変異の頻度の上昇にどのように関わるのか検討を行う。
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