2004 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム刷り込みドメインにおける遺伝子発現調節のエピジェネティック分子基盤
Project/Area Number |
16590263
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
副島 英伸 佐賀大学, 医学部, 助手 (30304885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 哲也 ソニーコンピュータサイエンス研究所, 研究員
東元 健 佐賀大学, 医学部, 助手 (30346887)
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Keywords | ゲノム刷り込み / DNAメチル化 / ヒストンH3K9メチル化 / ヒストンH3K27トリメチル化 / Beckwith-Wiedemann症候群 |
Research Abstract |
ゲノム刷り込みは、一対の対立遺伝子のうち一方の親由来の遺伝子のみが発現する現象で、配偶子形成過程で付けられる印(刷り込みマーク)に基づき遺伝子発現が決定される。ヒト染色体11p15.5は、複数の刷り込み遺伝子が存在する刷り込み領域であり、刷り込みの破綻はBeckwith-Wiedemann症候群(BWS)や胎児性腫瘍と関連する。刷り込みマークとして、DNAメチル化と特定のヒストン修飾が考えられている。本研究では刷り込みマークに基づく遺伝子発現調節の分子基盤を明らかにするため、DNAメチル化酵素遺伝子欠失ES細胞(Dnmt-/-ES)とヒストンH3K9メチル化酵素欠失ES細胞(G9a-/-ES)を用いて、刷り込み遺伝子Lit1の解析を行った。また、クロマチン免疫沈降法にて、刷り込みマークとしてのピストンH3K27トリメチル化の役割について検討した。 Dnmt-/-ESおよびG9a-/-ESの両細胞において、DNAメチル化は消失し、刷り込み遺伝子Lit1が両アレル発現を示した。G9aをトランスジーンでレスキューするとLit1の発現は片アレル発現に回復した。この結果から、刷り込み維持にはDNAメチル化とヒストンH3K9メチル化の両方が重要であることが考えられた。また、G9a-/-ESでDNAメチル化が消失していることから、H3K9メチル化がDNAメチル化より上位の刷り込みマークである可能性が示唆された。一方、トリメチル化H3K27は、BWS領域では母アレル特異的に認められたが、別の刷り込み領域であるPWS/AS領域では父アレル特異的に認められた。これら2つの刷り込み領域は、エピジェネティックな修飾は類似しているが遺伝子の発現パターンは異なっている。H3K27トリメチル化が、両領域の刷り込み遺伝子の発現パターンの違いを引きおこすマークである可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)