2005 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム刷り込みドメインにおける遺伝子発現調節のエピジェネティっク分子基盤
Project/Area Number |
16590263
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
副島 英伸 佐賀大学, 医学部, 助手 (30304885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東元 健 佐賀大学, 医学部, 助手 (30346887)
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Keywords | ゲノム刷り込み / Beckwith-Wiedemann症候群 / ヒストンメチル化 / Wilms腫瘍 |
Research Abstract |
ゲノム刷り込みは、一対の対立遺伝子のうち一方の親由来の遺伝子のみが発現する現象で、配偶子形成過程で付けられる印(刷り込みマーク)に基づき遺伝子発現が決定される。ヒト11p15.5は刷り込み領域であり、刷り込みの破綻はBeckwith-Wiedemann症候群(BWS)やWilms腫瘍と関連する。本研究では刷り込み調節の分子基盤と疾患との関連について解析した。 1.正常細胞とBWS患者由来細胞におけるタンパク質発現の差異をプロテインチップを用いて解析し、刷り込み調節の候補分子をスクリーニングした。異なる発現を示すタンパク断片を8種類の分子量ピークとして検出し、データベース検索にて35種類のタンパク質がヒットした。現時点では、既知の機能からゲノム刷り込みに関与すると推測される分子は含まれていないが、今後解析を進めていきたい。 2.F1マウス由来線維芽細胞を用いたクロマチン免疫沈降法(ChIP法)により刷り込みマークとしてのヒストンH3K9、H3K27、H4K20のモノ、ジ、トリメチル化について解析した。その結果、H3K20のモノメチル化のみが父アレルに優位に存在することが判明した。ヒストンH3のメチル化は遺伝子抑制のマークであり、父アレル上ではほとんどの刷り込み遺伝子は抑制されていることから、H3K20モノメチル化が刷り込みマークである可能性が示唆された。 3.37例の弧発性wilms腫瘍について、4つの関連遺伝子座、IGF2/H19、KIP2/LIT1、WT1(以上11p)、β-catenin(3p21)のジェネティック、エピジェネティックな解析を行った。ジェネティックな異常としては11pLOH(27%)が、エピジェネテイックな異常としてはIGF2LOI(37%)が最も高頻度であった。また、9割の症例が11pの異常を示した。11番染色体短腕は、Wilms腫瘍発生に最も重要な染色体領域と考えられた。
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Research Products
(6 results)