2005 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子C/EBP-βによるヒト腫瘍の増殖・分化・転移能の調節作用
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16590268
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
石倉 浩 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (70222982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸本 充 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (90323401)
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Keywords | 分化転換 / 腫瘍 / C / EBP-β / AFP産生胃癌 / 肝細胞特異的転写因子 / AFP / 卵黄嚢腫瘍 / AR42J-B13 |
Research Abstract |
本研究は「腫瘍において病理形態学的に同定される分化度や分化方向性がその腫瘍の生物学biologyを規定する重要な因子の一つである」という病理総論的現象の分子病理学的解明が究極の目的として行われた。この研究のため我々は(1)通常胃癌細胞株7株とAFP産生胃癌株3株、(2)ラット膵腫瘍細胞株AR42J-B13、(3)ラット卵黄嚢腫瘍株AT-2-TCを用い、主に肝細胞特異的転写因子の一種CCAAT/enhancer-binding protein(C/EBP)-βの発現解析および発現導入実験を行った。 1、AFP産生胃癌株は肝細胞分化を有する胃癌モデルである。ヒトAFP産生胃癌株3株は通常型胃癌7株に比べalbuminなど肝特異的蛋白質の発現から肝細胞性をもつことを確認した。さらにLAP/LIP比、HNF-4α発現、およびHNF-1α発現が高いことなどもあわせて確認した。相対的にLAP isoform発現が高いことが肝への分化転換の重要な要因の一つであると仮定し、LIP isoformをAFP産生胃癌へ導入した結果、部分的な肝細胞形質の抑制が認められた。 2、AR42J-B13は膵腺房細胞から肝細胞への分化転換モデル細胞である。AR42J-B13にC/EBP-βを導入した結果、肝細胞形質の発現が見られたとともに転移能の亢進が見られた。導入細胞はin vitroにおいて血漿のもつ細胞傷害性に対し耐性を獲得し、in vivoの検討では転移標的臓器血管内でのアポトーシスの減少が認められた。C/EBP-β導入による転移能亢進は標的臓器血管内での細胞死が減少するためと推測された。 3、AT-2-TCはhepatoidな分化を時折示すことが知られる卵黄嚢腫瘍のモデル株である。AT-2-TCにC/EBP-βを導入した結果、AFPの発現が誘導され、この際、他の肝細胞特異的転写因子の発現も変化した。
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Research Products
(4 results)