2005 Fiscal Year Annual Research Report
肉腫診断のためのcDNAアレイ開発とその臨床応用に関する研究
Project/Area Number |
16590269
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高澤 豊 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (50313151)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鹿島 健司 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (70292729)
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Keywords | 肉腫 / キメラ遺伝子 / 病理診断 / cDNAアレイ |
Research Abstract |
【はじめに】軟部肉腫には腫瘍特異的なキメラ遺伝子を有するものが多く知られている.特異的キメラ遺伝子の検出は,病理学的診断が困難な肉腫症例の補助診断法として極めて有効である.これらの肉腫特異的キメラ遺伝子の検出にmultiplexPCR-cDNAマクロアレイ法が適用できれば,一度に多くのキメラ遺伝子の検出が短時間に可能となり,病理診断上有用である.昨年度(平成16年度)は本法が原理的にキメラ遺伝子検出に応用可能であることを示したが,同時にいくつかの問題点も明らかとなった.中でも特異性の向上が当面の課題と考えられた. 【目的】非特異的なシグナルの増強の原因として,1)PCR反応時の非特異的増幅,2)PCR法によるラベリング,3)ハイブリダイゼーションの効率,の影響が考えられるので,これらを改善を目的とする. 【方法】1)に関して,キメラ遺伝子特異的プライマーにアンカープライマー配列を付加し,従来のPCRの後にアンカープライマー配列を用いた第2回目のPCRを施行した.2),3)に関してはPCR施行時にSP6プロモーターを産物に組み込み,これを用いてin vitro transcriptionを施行しcRNAを作成した.この際,ビオチン標識UTPを取り込ませて標識し,これを従来の膜上で化学発光により検出する方法とした.本法を特異的キメラ遺伝子を有する肉腫(EWS-Fli1 2例,EWS-ATF1 2例,EWS-CHN2例,SYT-SSX7例)に適用した. 【結果】上記の方法により,全例で非特異的なシグナルをほぼ消失させることができ,膜状での陽性シグナルが容易に判定可能となった.ただし,SYT-SSX1とSYT-SSX2のように産物のホモロジーが高い場合には両方のシグナルが検出されてしまうことがあり,プローブの配列の検討が必要と考えられた. 【結論】検出特異性を向上する新たな方法が確立され,multiplexPCR-cDNAマクロアレイ法は実際のキメラ遺伝子診断に応用可能であると考えられる.
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