2007 Fiscal Year Annual Research Report
肉腫診断のためのcDNAアレイ開発とその臨床応用に関する研究
Project/Area Number |
16590269
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高澤 豊 The University of Tokyo, 医学部・附属病院, 特任講師 (50313151)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
元井 享 東京大学, 医学部・附属病院, 特任講師 (50291315)
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Keywords | 肉腫 / キメラ遺伝子 / 病理診断 / cDNAアレイ |
Research Abstract |
【はじめに】複数の肉腫特異的なキメラ遺伝子を同時に検索できれば実際の軟部肉腫の病理鑑別診断の大きな助けとなる.その方法として,multiplexPCR-cDNAアレイ法によるキメラ遺伝子の検出法の確立し,改良を重ねてきた.前年度までにin vitro transcription法を組み合わせた新たな検出法を構築した.【目的】今回,新規に構築したキメラ遺伝子検出法の有用性を最終的に確認した.【方法】ユーイング肉腫(ES),明細胞肉腫(CCS),滑膜肉腫(SS),胞巣型横紋筋肉腫(RMS),骨外粘液性軟骨肉腫(EMS)に特異的なキメラ遺伝子の各エクソンをプローブとしてプロットした検出用アレイスライドを作成した.ES4例,CCS2例, SS7例の新鮮凍結材料あるいは細胞株よりRNAを抽出し,今回確立した方法で検出を試み,通常のRT-PCR法及びダイレクトシーケンスで得られたキメラ遺伝子情報と比較検討した.【結果】それぞれの肉腫に特異的なキメラ遺伝子の各パートナーがエクソンレベルで正しく検出可能であった.問題点として,特定のプローブ(SYT,Flil)で,若干の非特異的なシグナルの出現があったが,キメラを形成する2つの遺伝子の発現が揃った時点で真のキメラ遺伝子と判断するので,非特異的シグナルかどうかの判定は比較的容易であった.【結論】今回開発したキメラ遺伝子検出法は,実際のキメラ遺伝子を概ね正確に検出可能である.本法は予め作成が必要なアレイスライドと遺伝子増幅装置の他は,通常の病理検査室にある機器で実施可能な簡便な方法で,キメラ遺伝子の判定,結果の保存も容易であり,キメラ遺伝子を有する肉腫の新たな検出法として有用と考えられる.
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