2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト癌細胞核の染色体高次構造の異常とRNA転写制御に与える影響
Project/Area Number |
16590273
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
村田 晋一 山梨大学, 大学院医学工学総合研究部, 助教授 (20229991)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 良平 山梨大学, 大学院医学工学総合研究部, 教授 (30152755)
近藤 哲夫 山梨大学, 大学院医学工学総合研究部, 助手 (30334858)
|
Keywords | chromosome territory / subchromosomal positioning / multicolor FISH / EDC / texture analysis / uterine cervix / squamous metaplasia |
Research Abstract |
16年度から17年度にかけて行った研究の結果、甲状腺の癌化(未分化転化)に伴うchromosome territory(CT)の変化や子宮頚部の扁平上皮化生に伴うEpidermal differentiation complex(EDC)遺伝子のsubchromosomal positioning(SCP)の変化を解析し、染色体の高次構造におけるCTやSCP、の変化が、RNA転写ひいては蛋白発現の制御を行っている可能性を示した。 18年度は、この研究をさらに進め、1番染色体において、EDCが存在する周囲のクロマチン(DNA)凝集の程度をMicroscopic FRET(fluorescence resonance cnergy transfer)法を用いて測定した。FRET法は、2つの異なった種類の蛍光分子間のエネルギーの移動効率を測定することによって、2つの分子間の距離をオングストローム単位で測定する方法である。本研究では、2種類の蛍光分子で均等にラベルした全1番染色体に対するDNAprobeを間期細胞核にhybridizationさせ、核内1番染色体上での蛍光分子間のFRET効率(すなわち距離、ひいてはDNA凝集の程度)を測定した。この手法の利点は、細胞核内のおける1番染色体の部位(CT)やEDC遺伝子のSCPを同定すると同時に、1番染色体内の部位によるDNAの凝集の違いを視覚化することを可能にすることである。この手法を、扁平上皮に応用した結果、1番染色体上のEDCが存在する周囲のDNAは弱いFRET強度を示す傾向が見られた。すなわち、EDCが存在する周囲のクロマチン(DNA)凝集は弱いことが示された。この結果は、EDC遺伝子のSCPの変化が、EDC周囲のクロマチン(DNA)凝集を変化させ、RNA転写をより容易にする環境に変えることによって、EDC蛋白産生の活性化を行っていると考えられた。 以上より、細胞核におけるCTやSCPの変化が、遺伝子周囲のDNA凝集を弱くさせ、RNA転写を亢進することによって、遺伝子活性に影響し、引いては細胞機能や形態の変化に関与している可能性が示唆された。また、今回、開発したDNAprobe上でのMicroscopicFRET法は、様々な遺伝子解析にも応用可能と考えられた。
|
Research Products
(6 results)