2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト癌細胞核の染色体高次構造の異常とRNA転写制御に与える影響
Project/Area Number |
16590273
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
村田 晋一 Saitama Medical University, 医学部, 教授 (20229991)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 良平 山梨大学, 大学院, 教授 (30152755)
近藤 哲夫 山梨大学, 大学院, 助教 (30334858)
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Keywords | multicolor FISH / chromosome territory / subchromosomal positioning / urinary bladder / urothelial carcinoma / urothelial dysplasia / thyroid / uterine cervix |
Research Abstract |
16年度から18年度にかけて行った研究の結果、1)甲状腺の癌化に伴うchromosome territoryの変化、2)子宮頚部腺細胞の扁平上皮化生に伴うEpidermal differentiation complex(EDC)遺伝子のsubchromosomal positioningおよびその周囲のクロマチン凝集の変化、が起こることを示し、染色体の高次構造の変化が、癌化、細胞核異型形成およびRNA転写ひいては蛋白発現の制御と密接に関係していることを示してきた。 19年度は、甲状腺癌とは異なり、癌化に伴い大きな遺伝子異常を示すことが知られて膀胱の尿路上皮癌について、染色体の変化と細胞形態について検討した。良性病変、低悪性度および高悪性度の尿路上皮病変について、3番7番9番17番のセントロメアや9p21遺伝子の異常を検討した結果、1)尿路異形成および尿路上皮癌には上記染色体の異常を高頻度に認めが、異形成と低悪性度尿路上皮癌にその異常の質および量に有意差は認めなかった、2)反応性異型においても軽度の染色体異常を認めた、3)尿路上皮癌においては、細胞形態異常に乏しい低悪性度症例よりも細胞異型が高度な高悪性度症例において、染色体異常が質量ともにより高度に認められた。以上の結果は、癌化に伴う尿路上皮癌の染色体高次構造の異常は甲状腺癌のそれとは異なると考えられる。すなわち、増幅および欠失を含む多くの遺伝子異常が早期に起こる尿路上皮癌では、染色体の高次構造の異常も、甲状腺乳頭癌と異なり、早期にかつ高度に起こっている。さらに、染色体高次構造の異常が細胞形態異常(細胞異型)に直結していると思われる。さらに、甲状腺癌と尿路上皮癌における染色体高次構造の異常の差異が、甲状腺癌と尿路上皮癌の進展性や予後などの生物学的および臨床病理学的ふるまいの違いに大きく影響している可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)