2006 Fiscal Year Annual Research Report
非CpG-island領域シトシンメテル化による癌細胞多様性制御機構の解析
Project/Area Number |
16590278
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
北澤 荘平 神戸大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (90186239)
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Keywords | 非CpG-island / メチル化 / 遺伝子プロモータ / 膀胱癌 / BAMBI / 転写制御 / 膵癌 / TrkA |
Research Abstract |
遺伝子転写調節領域に存在するCpG-islandのメチル化は、遺伝子発現を抑制する。私どもは、非CpG-islandのCpGメチル化による転写制御を検討した。神経成長因子(NGF)の受容体TrkA遺伝子プロモータ領域にはCpG-islandはなく、非CpG-islandにAP-1類似配列(TGAGCGA)がある。膵癌、大腸癌培養細胞株では、高度メチル化細胞株は低メチル化の株よりもTrkA発現が高く、AP-1類似配列のメチル化がTrkA遺伝子の転写促進に寄与する。遺伝子導入実験により、当該AP-1類似配列の機能は転写抑制であるため、メチル化が抑制性AP-1へのc-Jun蛋白結合を阻害し(抑制シグナルの阻害)、転写が促進することがわかった。 Desmoid腫瘍症例における骨形成シグナルを検討した。Desmoid腫瘍に蓄積したβ-catheninは骨形成促進に働くが、desmoid腫瘍では同時に骨形成因子(BMP)の偽受容体BAMBIがBMPシグナルを遮断して、骨形成を抑制する。Desmoid腫瘍の骨形成巣に対して、microdissection検体を用いたbisulfite mapping法にてBMBI遺伝子プロモータのCpGメチル化を解析すると、骨形成巣ではメチル化によりBAMBI発現が低下してBMPの骨形成シグナルが優位となっていた。癌においてもBAMBI発現が報告され、BAMBIはTGFβの細胞増殖シグナルを遮断するので、CpGメチル化によるBAMBI抑制は、腫瘍の増殖・進展をする。膀胱癌、大腸癌、前立腺癌の病理組織を用いて、免疫組織化学によりBAMBI発現と、MSPによるCpGメチル化を解析した。膀胱癌は、ミャンマーと本邦の検体を収集して比較検討した。組織学的にhigh gradeの症例は両国ともメチル化が高度であるが、ミャンマー症例ではlow grade群もメチル化が高い傾向を認め、環境因子や生活習慣の関与がうかがわれた。 以上の研究成果の一部は、第96回日本病理学会総会にて発表するともに、学術誌投稿予定である。
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Research Products
(7 results)