2004 Fiscal Year Annual Research Report
放射線関連甲状腺癌におけるWnt系活性化へのPin1の関測の検討
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16590282
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中島 正洋 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (50284683)
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Keywords | 甲状腺癌 / 放射線 / Wnt細胞内伝達 / β-catenin / cyclin D1 / Pin1 |
Research Abstract |
チェルノブイリ事故汚染地域からの濾胞腺腫(FA)と乳頭癌(PTC)各14例を用い、cyclin D1、β-catenin、Pin1の発現レベルを免疫染色とRT-PCRにより評価し、それらの相関を統計学的に検定した。cyclin D1核内過剰発現はFAの14.3%、PTCの100%に認め、FAの57.1%に胞体内発現を認めた。転写レベルでcyclin D1過剰発現はFAの45.5%、PTCの54.5%であった。Pin1の過剰発現はFAの28.5%、PTCの100%で、PTCのPin1発現はRT-PCRで確認した。β-catenin胞体内発現はFAの85.7%、PTCの100%に認めたが、FAでは全例弱陽性であった。FAとPTCを合わせた甲状腺腫瘍で、核内cyclin D1とPin1、核内cyclin D1と胞体内β-catenin、Pin1と胞体内β-cateninの発現レベルに正の相関を認めた(p<0.001)。cyclin D1 mRNA過剰発現とPin1、胞体内β-cateninの発現レベルに有意な相関を認めた(各々p=0.017,0.045)。PTCのβ-catenin exon 3の変異は認めなかった。これらの結果は放射線関連甲状腺腫瘍でのcyclin D1過剰発現とβ-catenin胞体内発現へのPin1の関与を示唆している。放射線関連FAの胞体内cyclin D1は転写レベルでの過剰発現を伴っていて、これら甲状腺腫瘍のcyclin D1転写活性の亢進は早期のイベントで、cyclin D1の核内蓄積が悪性転化に重要であるのかも知れない。未分化癌細胞株AROとPTC細胞株TPC-1にはβ-catenin exon 3に変異はなく、AROにAPC遺伝子変異を認めた。Western解析では、Pin1発現はTPC-1のみに高度で、cyclin D1とβ-cateninの発現はARO、TPC-1ともに同等に認めた。甲状腺癌化過程での、Pin1によるcyclin D1とβ-catenin発現調節機構の関与が示唆された。
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Research Products
(6 results)