2004 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪肝に基づく慢性肝疾患進展への酸化ストレス/酸化フォスファチジルコリンの関与
Project/Area Number |
16590287
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
伊倉 義弘 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (00240953)
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Keywords | 非アルコール性脂肪性肝炎 / 酸化ストレス / 過酸化脂質 / 酸化フォスファジルコリン |
Research Abstract |
病理解剖および生検で得られた非アルコール性脂肪性肝障碍[NAFLD:非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を含む]、慢性C型肝炎組織を、主に免疫組織化学的に解析し、以下の所見を得た。 NAFLDにおける酸化フォスファチジルコリン(oxPC)局在の意義として、酸化傷害によるその形成が想定されている。肝組織上で検索したところoxPC局在は変性ならびにアポトーシス肝細胞でしばしば観察され、酸化傷害との密接な関連性が示唆された(日本消化器病学会雑誌;2004)。この酸化傷害/酸化ストレスの発生源として、好中球のミエロペルオキシダーゼなどの強力な酸化酵素のほか、アンジオテンシンIIをはじめとする血管収縮物質の関与も有力視されている。アンジオテンシンII受容体の発現を検索すると、NASH/NAFLDで高発現が認められ、本病態への関与、特に線維化との深い関連性が示唆された(肝臓;2004)。以上の所見は、NAFLDに関する最新の知見とともに、誌上にて概説した(消化器科;2005)。 OxPCの処理機転を考えるにあたり、その取込みの受容体発現を検索した。SR-B1やCD36など、いわゆるスカベンジャー受容体がこれに相当し、NAFLDではクッパー細胞や星細胞などにおいて発現亢進の傾向がうかがわれた。さらに病態との関連性を検討したところ、肝組織の傷害・線維化過程への関与が示唆された(日本消化器病学会誌;2005、肝臓;2005)。 C型肝炎では肝細胞の脂肪化が非常に高率に認められ、そのような脂肪化肝細胞にはNAFLD同様、oxPCの局在が観察された。ウイルス動態との関連を検討する目的で、SR-B1発現と肝内ウイルス量を対比したところ、両者間に有意な相関が認められ、C型肝炎ウイルスのレプリケーションに何らかの機序を介して寄与している可能性が示唆された(Hepatology;2004)。
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Research Products
(6 results)