2005 Fiscal Year Annual Research Report
急性冠症候群の発症メカニズムにおける酸化LDLの役割に関する分子病理学的研究
Project/Area Number |
16590288
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
上田 真喜子 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10137193)
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Keywords | 急性冠症候群 / 酸化LDL / 酸化LDLレセプター / 血小板 / 好中球 |
Research Abstract |
本研究では、酸化LDLの、冠動脈プラーク不安定化メカニズムへの関与、その生成機序における好中球ミエロペルオキシダーゼの役割、さらには急性冠症候群発症の予知・予防におけるその意義を明らかにすることを目的とした。研究は主として、ヒト組織材料を用いた分子病理学的な解析手法により行なわれ、以下に示す内容について検索した。 初年度には、ヒト急性心筋梗塞の責任病変における酸化LDLと好中球の局在および活性化血小板と好中球集積の密接な関連性、酸化LDLクリアランスにおけるマクロファージ・スカベンジャー受容体の役割などを明らかにした。2年目である本年度は、前年度の研究成果を踏まえて、酸化LDL生成の根源である酸化ストレスに関連する諸因子について、検討をさらに進め、また酸化LDLの病的意義についても多角的に検索し、理解を深めた。 結果として、酸化LDLは冠動脈プラークの形成・進展・不安定化のみならずステント留置後の炎症の持続と再狭窄にも重要な役割を果たし、その予知因子となりうることを明らかにした(Arterioscler Thromb Vasc Biol 26:877-83,2006)。酸化LDLは冠動脈プラークの石灰化や血栓形成にも修飾因子として重要であり、冠動脈イベント発症との関連性が示唆された(Circulation 112:U491-U491 Suppl.2,2005 ; Circulation 112:U585-U586 Suppl.2,2005)。また、生活習慣病を背景とした酸化LDLやその構成成分の組織への集積は動脈硬化病巣に限った現象ではなく、脂肪肝/脂肪性肝炎でも類似の事象が観察され、それは好中球ミエロペルオキシダーゼの高発現と密接に関連していた(Hepatology 43:506-14,2006)。一方、このように冠動脈疾患をはじめとする、生活習慣病を基盤とした酸化ストレスによる諸疾患の発症には、内皮細胞の傷害や機能不全が関与し、内皮細胞のテロメア短縮はそのよい指標である(Arterioscler Thromb Vasc Biol 24:546-550,2004)。本研究の一部として、内皮細胞テロメア長のin situ検出法を確立し、動脈硬化巣部の内皮細胞テロメア長の有意な短縮を明らかにし得た。今後、この手法を用いて酸化LDLのもたらす内皮細胞傷害とプラーク不安定化機序への関与をより詳細に検討して行きたいと考えている。
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Research Products
(6 results)