2005 Fiscal Year Annual Research Report
LYVE-1抗体によるリンパ管の同定と消化管癌におけるリンパ管侵襲の予後的意義
Project/Area Number |
16590297
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
石川 由起雄 東邦大学, 医学部, 講師 (30276894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 壽晴 東邦大学, 医学部, 教授 (30101893)
伊藤 金次 東邦大学, 医学部, 助教授 (40057758)
寺本 龍生 東邦大学, 医学部, 教授 (00146713)
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Keywords | LYVE-1 / リンパ管 / 脈管侵襲 / 胃早期癌 / 結腸癌 / 予後的因子 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
1.胃早期癌におけるリンパ管侵襲とリンパ節転移の関連性 胃早期癌の手術摘出例132例に対し、LYVE-1抗体及びvon Willebrand factor抗体による免疫組織化学を施行した。そのうち66例はリンパ節転移を認め、他の66例はリンパ節転移の無い群である。リンパ節転移群では、21例において、リンパ管侵襲が観察され、対象としたリンパ節転移無し群では6例にのみリンパ管侵襲をみ、両者に統計学的有意差が認められた。両群間における差異は、腫瘍径、腫瘍進展度、腫瘍分化度においても確認された。また、リンパ管侵襲が、腫瘍辺縁あるいは周囲に、2個以上ある場合は、70-80%の確率で、リンパ節転移が認められた。すなわち、胃早期癌組織におけるLYVE-1抗体を使用したリンパ管の同定及びリンパ管侵襲の確認は、リンパ節転移の予測因子として利用価値があると考えられた。本内容は、Virchow Archivに投稿し、印刷中である。 2.結腸癌におけるリンパ管増生及びリンパ管侵襲 種々の深達度を示す結腸癌160例に対し、上記と同様に免疫組織化学を施行した。このうちm癌及びsm癌は、40例、mp癌が60例、ss癌が60例であり、それぞれ半数がリンパ節転移のあった例である。LYVE-1陽性のリンパ管は腫瘍内には認められず、腫瘍周囲(100倍視野観察)のリンパ管数は正常組織に比較して有意な差を認めなかった。しかし、リンパ管増殖刺激因子であるVEGF-Cは、85例において腫瘍辺縁部に陽性となり、リンパ節転移に有無や周囲リンパ管数との相関は認められなかった。腫瘍辺縁部あるいは周囲には、癌のリンパ管侵襲を散見したが、深達度が深いほど多く観察された。リンパ節転移に与える危険因子を統計学的(多変量解析)に検討したところ、深達度、腫瘍径、リンパ管侵襲の順に有意な危険因子となることが判明した。すなわち、結腸癌の組織学的検索に於いて、LYVE-1抗体を使用した免疫組織学的検討は、リンパ節転移の予測因子を探る意味で、極めて有用な手法であると考えられた。
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Research Products
(2 results)