2004 Fiscal Year Annual Research Report
川崎病動脈瘤非形成冠状動脈の長期変化についての病理組織学的検討
Project/Area Number |
16590298
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
高橋 啓 東邦大学, 医学部, 助教授 (80216712)
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Keywords | 川崎病 / 冠状動脈炎 / 冠状動脈瘤 / 粥状動脈硬化症 / 内膜肥厚 / 細胞増殖因子 / 細胞間マトリクス / 平滑筋形質 |
Research Abstract |
冠状動脈の拡張性変化を残すことなく治癒した川崎病既往児の経過観察を終了することができるか議論が続いている。そこで、瘤の形成をみなかった川崎病剖検例の冠状動脈に対し免疫組織学的検索を交えた病理学的検索を行い、これらが新たな狭窄へと進展する可能性について検討した。 対象と方法:40病日以降に死亡した川崎病7剖検例を対象とした。死亡時年齢は1歳7ヶ月〜15歳。罹患から死亡迄の期間は60日〜14年である。HE, EvG, AM, Al-B染色を施行し、特に内膜の構成成分について組織学的検索を施行した。さらに、追加検索可能であった症例については増殖因子(PDGF-A, TGF-b, VEGF)に対する抗体を用い免疫組織的検索を加えた。 結果:7例中5例でかって血管炎が存在したことを推定し得る、非川崎病症例(対照)とは明らかに異なる全周性の内膜肥厚、中膜の菲薄化、内弾性板の伸展が認められた。肥厚内膜は発症後9ヶ月死亡例でAl-B染色に強染する豊富な基質中に平滑筋細胞が不均一に分布していたが、1年以上経過例では肥厚内膜の基底側に平滑筋細胞が分布するようになった。一方、2例は対照と比して目立たない程度の内膜肥厚であり血管構築は良く保たれていた。免疫組織学的検索では、PDGF-Aは発症後1年迄の症例の内膜、中膜平滑筋細胞に一部陽性を示したが、それ以降は対照と同様、陰性を示した。TGF-bは川崎病、対照とも全体に陰性を示し、一方、VEGFは川崎病・対照とも内皮細胞、平滑筋細胞に陽性を示す傾向にあった。 考察:剖検にて動脈瘤を確認出来なかった症例の冠状動脈は罹患後数年を経過すると対照と同様の構造を示すようになり、このような動脈が将来的に狭窄性病変へと進展する可能性は低いように思われた。現在、内膜平滑筋の形質についての検索を行っている。
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Research Products
(3 results)