2004 Fiscal Year Annual Research Report
胸線組織の再構築とその移植によるT細胞免疫機能の再生
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16590304
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
宇津山 正典 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (70167287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣川 勝いく 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (00014093)
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Keywords | 胸腺 / 加齢 / 胸腺微少環境 |
Research Abstract |
胸腺がT細胞免疫系の形成において重要な役割を果たしているが、胸腺は思春期を過ぎる頃から形態的に萎縮が進み、機能的にはもっと早く、幼少児の頃から機能低下が始まり、加齢に伴う免疫機能の低下の主因となっている。 本研究は、胸腺微少環境側におけるT細胞の増殖・分化に関わり、加齢と共に機能低下する因子を同定し、胸腺の再構築とT細胞が増殖・分化を促し免疫系の改良システムを確立する事を目的とする。 本年度の成果として、(1)樹立した胸腺微少環境に対する抗体添加により高酸素下胸腺器官培養(in vitro系)で未熟胸腺細胞の増殖・分化を抑制する抗体を確認し、これらの抗体の認識する因子がOFA、OSFであることを新たに同定した。これらは加齢に伴い発現が減少し、これらの合成タンパクをin vitro系に添加するとOSFは対照群に比べ、細胞の増殖を認めたが、未熟胸腺細胞の分化には影響を与えなかった。一方、OFAは著明な変化は認められなかった。(2)DNA array解析により、胸腺微少環境に胎生、新生仔期に強発現する約60種遺伝子を確認し、更にその発現量が胎生、新生仔期で強発現し以降急激に減少する遺伝子20種を選別した。これら選別した遺伝子情報より、合成タンパクを作成中で、in vitro系に添加し、未熟胸腺細胞の変化を検討できる。(3)胸腺リンパ球の増殖・分化に重要な役割を示すとされているNotch ligandの発現についても、胎生、新生仔時期を境に大きく減少し、その1種、Delta like-1遺伝子導入細胞を用いたin vitro系で未熟胸腺細胞が増殖し、DN→DP亜集団への分化がみられた。この細胞のみの腎皮膜下移植では胸腺の再構築はみられなかった。 これらの結果より、胸腺萎縮には、胎生期、新生仔期から始まるこれらの遺伝子、因子の発現が減少することにより、胸腺内でのリンパ球の増殖・分化が低下することが、胸腺萎縮の一因を成している事が示唆され、遺伝子・タンパクの作用機序と胸腺構築の場の改良を並行してシステム化することで胸腺再構築とT細胞免疫系の改善を目的とした本研究目的の基礎データーが得られた。
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