2004 Fiscal Year Annual Research Report
ノックアウトマウスを用いたADAMTS‐1の卵巣機能における役割の解析
Project/Area Number |
16590305
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
久野 耕嗣 金沢大学, がん研究所, 助教授 (40242565)
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Keywords | 細胞外マトリックス / ADAM / メタロプロテアーゼ / 卵巣機能 |
Research Abstract |
ADAMTS-1は、プロテオグリカン分解活性を有するメタロプロテアーゼである。これまで我々は、生体におけるADAMTS-1の機能を明らかにするため、ADAMTS-1遺伝子欠損(KO)マウスの解析を行い、同マウスが腎孟尿管移行部閉塞症と酷似した表現型を示し、また雌マウスは強い不妊傾向を示すことを報告してきた。今回、ADAMTS-1の卵巣機能における役割を、KOマウスの解析を通じてさらに詳しく調べた。まず、PMSG/hCG投与による過排卵条件下での排卵数は、ADAMTS-1 KOマウスで顕著に減少していた。次に同じ過排卵の条件下で、黄体数、非破裂卵胞数,非破裂黄体化卵胞数から算定される推定成熟卵胞数は、ADAMTS-1 KOマウスで、コントロールマウスの場合の約3分の1に低下していた。またこの時、KOマウスの卵巣では、成熟卵胞のうち排卵が起こらないもの(非破裂卵胞および非破裂黄体化卵胞)の割合が、コントロールマウスと比較して顕著に増加していた。さらにPMSG投与、またはPMSG/hCG投与時において、卵胞生育過程の各ステージの卵胞数を調べたところ、ステージ4(前胞状卵胞前期)の卵胞数はKOマウスで保たれていたが、ステージ5aまたは5b(前胞状卵胞中期または後期)、およびそれ以降のステージの卵胞数は、ADAMTS-1 KOマウスで有意に減少していた。これらの結果から、ADAMTS-1は排卵過程に必要であり、また前胞状卵胞中期または後期以降の卵胞生育過程にも重要な役割を果たしていることが示唆された。
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Research Products
(2 results)