2005 Fiscal Year Annual Research Report
インスリンによるグルコースの細胞内取り込みを制御する新規蛋白質ARPPの機能解析
Project/Area Number |
16590320
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
守山 正胤 大分大学, 医学部, 教授 (90239707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 恵子 大分大学, 医学部, 助手 (00291542)
泥谷 直樹 大分大学, 医学部, 助手 (80305036)
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Keywords | ARPP / インスリン / 骨格筋 / グルコース / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
本研究は、骨格筋に特異的に発現するARPP蛋白質の個体レベルにおける機能を明らかにすることを目的としているが、これまでにすでに以下のような知見を得ている。すなわち、1)ARPPは分子モーターの一つであるkinesin II(KIF3AとKIF3Bのヘテロダイマー)に直接結合し、その結合はすでにkinesinII結合蛋白質として知られているKAP3と競合する。2)ARPPは微小管と細胞内で共局在すること。すなわち、EGFP-ARPPを一過性に過剰発現させたHeLa細胞をレーザー共焦点顕微鏡で観察したところ、ARPPが微小管と共局在した。さらに生化学(microtubules sedimentation assayならびにco-immunoprecipitation)な解析によってもARPPと微小管の結合が確認された。3)KB細胞にEGFP-ARPPを過剰発現させ、インスリン刺激したところ、EGFP-ARPPは刺激後 5 分で細胞質から細胞膜へ移動した。これらのことはARPPがインスリン刺激によりkinesin IIを介して、微小管上をマイナス端からプラス端へ向かって運搬されることを示唆する。そこで、分化誘導により内因性ARPPを発現誘導されたC2筋管細胞をインスリンで刺激すると、放射能ラベルされたグルコースの取込み能が亢進するが、この筋管細胞にsiRNAを導入してARPP発現を阻害したところ、インスリン刺激によるグルコース取り込み能が有意に低下することを発見した。さらにこれが個体レベルでも確認できるか否かをARPPノックアウトマウスを用いて解析した。すなわち、ノックアウトマウスと野生型マウスを用いてグルコース負荷テストをおこなったところ、ノックアウトマウスにおいては耐糖能の低下傾向を認めた。しかしながら、データにばらつきがみられるため、マウスの遺伝的背景をそろえる必要が生じた。そこで、遺伝的背景が120SVJとC57BLのキメラであるノックアウトマウスを7回バッククロスしてC57BLに遺伝的背景をそろえた。その結果、ノックアウトマウスにおける耐糖能の低下がより強く示唆された。
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Research Products
(4 results)