2004 Fiscal Year Annual Research Report
日本におけるE型肝炎ウイルスの分子疫学と動物宿主の解明
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16590331
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
阿部 賢治 国立感染症研究所, 感染病理部, 主任研究官 (60130415)
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Keywords | E型肝炎ウイルス / 動物宿主 / 分子疫学 |
Research Abstract |
自然界におけるE型肝炎ウイルス(HEV)の動物宿主を探索するために、日本およびミャンマーに生息する野ネズミを対象として、その疫学調査を実施した。 国内ラット類では、HEV IgG抗体がドブネズミ114/362(31.5%)及びクマネズミ12/90(13.3%)で陽性を示した。ドブネズミにおける陽性率は、クマネズミと比べ有意に高率であった(p<0.001)。これに対し、マウス種では全例陰性であった。ドブネズミにおける感染率は、体重と共に増加した。つまり、体重100g以下では16%であったが、101〜200gで34.2%、201g以上では44.9%と急激に上昇した。これは、加齢と共に感染率も上昇することを示唆する所見である。さらに、日本各地で捕獲された場所別における感染率をみると、最も高いのは沖縄(19/44;43%)で、次いで愛知(97/313;31%)、東京(4/24;17%)、神奈川(4/36;11%)、宮崎(1/35;3%>と続いた。宮崎における低陽性率は、幼獣の割合(91.4%)が高かったためと思われた。また、愛知県名古屋市における調査で、港近辺で捕獲されたラットでの感染率(42/94;44.7%)が市街地中心部(56/219;25.6%)のそれよりも有意(p<0.005)に高かった。一方ミャンマーでは、ドブネズミ76/100(76%)でHEV IgG抗体陽性を示した。この中でOD492値=2.0<のものが34匹(34%)で存在した。さらに、IgG抗体強陽性を示した3例の肝組織から、PCR法にてHEV RNA陽性所見が観察された。
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Research Products
(5 results)