2005 Fiscal Year Annual Research Report
日本におけるE型肝炎ウイルスの分子疫学と動物宿主の解明
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16590331
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
阿部 賢治 国立感染症研究所, 感染病理部, 主任研究官 (60130415)
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Keywords | E型肝炎ウイルス / HEV / 動物宿主 / 分子疫学 / 国際研究 |
Research Abstract |
今年度は、E型肝炎ウイルス(HEV)感染の実態を把握するために、国内および国外の医療機関の協力を得て、HEVの血清疫学的研究を実施した。方法は、患者5,233例の血清を用いて、anti-HEVをELISA法にて測定した。また一部検体については、PCR法にてHEV RNA検出と塩基配列を決定した。結果は、まず国内では、東京地区では8.9%なのに対し沖縄地区では34.5%と高値を示した。海外では、ベトナム・北部のハノイでは62.1%、南部のホーチミンでは41.8%、中国東北部のハルピンでは29.2%、タイ・バンコクでは27%、ミャンマー・ヤンゴンでは35.1%、ネパール・カトマンズでは66%、米国・ニューヨークでは21.3%、スペイン・バルセロナでは34%、ロシア・モスクワでは20.2%、エジプト・カイロでは80%、ボリビア・サンタクルズでは12.7%の陽性率を各々示した。Anti-HEV陽性率は日本、米国、スペインを除いた他の国々では、16〜30歳の年代群で既に20%を超える陽性率を示した。ネパールにおいて、非B非C型急性肝炎と診断された25例において、14例(56%)がIgMクラスanti-HEV陽性を示し、急性E型肝炎と診断された。さらに、IgM anti-HEV陽性患者の3例で、血中HEV RNAがPCR法にて検出された。PCR産物の塩基配列から、3例共東南アジアに流行しているゲノタイプ1に属した。以上の成績から、HEVは地球規模で広く感染が拡大していることが分かった。
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Research Products
(5 results)