2005 Fiscal Year Annual Research Report
抗酸化タンパクノックアウトがマラリア原虫の哺乳類及び蚊体内発育に及ぼす影響の解析
Project/Area Number |
16590351
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Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
河津 信一郎 国立国際医療センター(研究所), 適正技術開発・移転研究部・適正技術開発研究室, 室長 (60312295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
狩野 繁之 国立国際医療センター(研究所), 適正技術開発・移転研究部, 部長 (60233912)
坪井 敬文 愛媛大学, 無細胞生命科学工学研究センター, 教授 (00188616)
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Keywords | 感染症 / マラリア / ストレス / レドックス / 逆遺伝 / 遺伝子改変原虫 / 蚊体内発育型 |
Research Abstract |
In vivo環境において、マラリア原虫新規抗酸化タンパク、ペルオキシレドキシン(Prx)の欠損が原虫生理に与える影響を観察する目的で、2-Cys型Prx遺伝子を欠損するローデントマラリア原虫(Plasmodium.berghei, ANKA strain)を作製しその表現型を観察した。昨年度に引き続き、Prx欠損原虫(Prx KO)の媒介蚊(Anopheles stephensi)体内での発育を観察した。Prx KOに感染したマウスに蚊を吸血させ、その14日後に中腸でのオオシスト形成を比較したところ、Prx KOでは成熟オオシストの数が親株(WT)の約1/10に減少していた。この時、オオシストの数には有意な差は見られなかった。吸血20日後に、Prx KOでのスポロゾイト形成数を算定したところ、中腸ではWTの約1/10、唾液腺でも約1/10〜1/20に減少していた。15日後にPrx KOの媒介蚊中腸内での発育阻害の様子を電子顕微鏡で観察した。その結果、少数観察されたスポロゾイト包含オオシストにおいても、スポロゾイトの出芽異常、スポロゾイト細胞での空胞形成等の器質的変化が観察された。これらの成績から、2-Cys型Prx欠損原虫では、媒介蚊中腸でのオオシストの成熟が障害され、原虫の蚊から哺乳類宿主への伝播が著しく阻害されることが示唆された。次に、感染蚊唾液腺からスポロゾイトを調整し、ドースを変えてマウス尾静脈に接種し、赤血球内に出現してくる原虫を観察した。その結果、Prxを欠損するスポロゾイトではマウスへの感染性が野生型原虫の約1/10に低下していた。スポロゾイトの感染性低下が肝臓への侵入前後どちらでの表現型に由来するのかを確認する目的で、Prx KOに感染した媒介蚊の唾液腺から回収したスポロゾイトをマウス尾静脈に接種し、その1時間後に肝臓を摘出して肝細胞内に侵入した原虫の数をWTでのそれと比較した。この結果、Prx欠損スポロゾイトで観察されたマウス感染性の低下は、肝臓での発育期以降の表現型に由来することが示唆された。
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Research Products
(1 results)