2004 Fiscal Year Annual Research Report
腸管上皮細胞のバリア機能を低下させるボツリヌス菌由来物質の探索
Project/Area Number |
16590359
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤永 由佳子 大阪大学, 微生物病研究所, 特任助手 (60252954)
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Keywords | ボツリヌス毒素 / C.botulinum / tight junction / TER |
Research Abstract |
A型、B型、C型、の各種ボツリヌス菌を5日間培養した後、その培養上清をサンプリングして、フィルターろ過した。上記のサンプルを硫安沈殿により濃縮したものを、vero細胞に添加した。その結果、A型とB型では、形態変化は観察されなかったが、C型を添加した場合は、添加後30分からvero細胞がroundingした。この作用は抗C3酵素抗体で阻害されることから、C型菌が産生するC3酵素によると考えられた、これらの結果より、vero細胞を用いた場合、A, BおよびC型ボツリヌス菌が産生し、宿主細胞に影響を与える新規物質を見出すことはできなかった。 次にこれじの培養上清が腸管上皮細胞バリアになんらかの変化を起こすかどうかについて検討した。ヒト腸管上皮細胞であるT84とCaco-2をコンフルエントの状態でtranswellを用いて培養し、tight junctionを形成させて、ヒト腸管上皮細胞バリアのin vitroのモデル系とした。A型、B型およびC型の培養上清の濃縮液は、これらの細胞のtight junction機能を低下させた。tight juction機能は細胞間電気抵抗値(TER)で測定した。各培養上清濃縮液に抗C3酵素抗体を添加した場合、C型培養上清によるTERの低下は完全に抑制されたが、A型培養上清およびB型培養上清のTER低下活性は抑制されなかった。以上の結果より、A型およびB型菌培養上清には、ヒト腸管上皮細胞のtight junction機能を低下させる物質が存在していることが明らかになった。
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