2005 Fiscal Year Annual Research Report
腸管上皮細胞のバリア機能を低下させるボツリヌス菌由来物質の探索
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16590359
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤永 由佳子 大阪大学, 微生物病研究所, 特任助教授 (60252954)
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Keywords | ボツリヌス毒素 / C.botulinum / tight junction / TER |
Research Abstract |
平成16年度の結果より、A型およびB型菌培養上清には、ヒト腸管上皮細胞のtight junction(TJ)機能を低下させる物質が存在していることが明らかになった。そこで本年度はB型菌培養上清の硫安沈殿画分より、陽イオン交換クロマトグラフィーおよびlactose beadsによるアフィニティークロマトグラフィーなどで分画してTERを低下させる活性を測定した結果、16S素南画分にTJ機能低下活性があることが明らかになった。 B型16S毒素は、細胞障害性を示すことなく用量依存的にTJ機能を低下させることが明らかになった。透過電子顕微鏡により細胞間接着装置の形態を観察したところ、16S毒素処理により、TJの特徴である細胞間腔の閉鎖構造が消失し、細胞問に間隙が生じていることが明らかになった。さらにコンフォーカル顕微鏡を用いた観察よりTJの構成成分であるoccludinおよびbeta-cateninの局在が著しく乱れていることが観察された。またapicalからbasolateralへのFITC dextran 10k、40k、500kのparacellular fluxを測定した結果、すべての分子量のFITC dextranでB16S毒素添加によるparacellular flnuxの亢進が観察された。 この現象がin vivoにおいても観察されるかどうかについて、マウス結紮腸管の系を立ち上げて解析した。その結果、in vivoにおいても16S毒素成分によって、paracellular fluxが起こることが確認された。 以上の結果より16S毒素はin vitroおよびin vivoにおいて腸管上皮細胞のTJを開いて、高分子量分子のparacellular fluxを亢進することが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)