2005 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白毒素の分泌・成熟化過程の解析と臨床への応用研究
Project/Area Number |
16590360
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
岡本 敬の介 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70131183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三好 伸一 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (60182060)
中尾 浩史 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (20237217)
山中 浩泰 広島国際大学, 薬学部, 教授 (30202386)
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Keywords | 細菌 / アエロモナス / プロテアーゼ / 溶血毒 / フーリン / 下痢 / 基質 / 病原性 |
Research Abstract |
本研究ではアエロモナスのセリンプロテアーゼの成熟化過程の解析と基質の切断構造の解析、アエロモナスが産生する溶血毒の活性と診断への応用、およびTolCの機能について調べた。アエロモナスのセリンプロテアーゼは構造が哺乳動物のプロテアーゼであるフーリンと類似していること、また成熟化にはシャペロンを必要とする特異な蛋白質であることがわかっている。それ故このセリンプロテアーゼの成熟化過程の解析は細菌性プロテアーゼからフーリンへと進化した進化の過程をも明らかにする。その観点から本セリンプロテアーゼの産生条件を検討した結果、アエロモナスは2%以上の食塩を含む環境下ではセリンプロテアーゼは産生できない事を見出した。また一方、本セリンプロテアーゼ遺伝子を取り組んだ腸炎ビブリオは3%食塩濃度の培地では活性型のセリンプロテアーゼを菌体外へ放出するが、1.0%以下の食塩濃度の水中では放出できない事をみいだした。この活性型セリンプロテアーゼの産生性を決定する菌の因子は、海水と淡水という両菌の生息場所の選択に大きく影響を与えたとも考えられる。次にアエロモナスの溶血毒を調べた。試験管での培養では溶血毒素を産生していないと思えるある種のアエロモナスが腸管では溶血毒を産生している事が判明した。解析の結果,これらの菌の溶血毒はプロテアーゼに対する感受性が高く、菌体外では容易にプロテアーゼで分解を受けるが、腸管で菌体外に放出された溶血毒は直ちに腸管細胞に付着し、細胞に働き下痢毒として作用していることが判明した。それ故アエロモナスの病原性を調べるには試験管での溶血活性だけで判定するのではなく、遺伝子での診断が有用であると考えられた。またビブリオのTolCは大腸菌内でAcrABと相互作用して、活性を発揮するが、AcrABが欠損すると機能が低下することをも明らかにした。
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Research Products
(6 results)