2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16590373
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
宮崎 修一 東邦大学, 医学部, 助教授 (30120314)
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Keywords | H.influenzae / neutrophil / subset / meningitis / blood brain barrier / Gr-1 / CD25 / CD80 |
Research Abstract |
インフルエンザ菌による髄膜炎を解析する上で、感染初期に働く生体防御能である好中球の働きを明確にすることは重要である。一方、グラム陰性菌である本菌種はlipopolysaccharide(LPS)を外膜構成成分としており、本菌種の重要な病原因子の1つである。そこで、好中球とLPSの相互作用について検討を加えた。この実験は基本的にマウスの腹腔内に好中球を誘導し、その腹腔内にLPSを投与した。まず、正常マウスの腹腔内に誘導される好中球は、Gr-1抗原の量的違いから少なくとも2群に分けられることが明らかとなった。これら2群の中、Gr-1抗原を多く持つ好中球(Gr-1^<high>)は、マウス腹腔内でLPSに曝されることにより速やかに(暴露15分後)腸間膜リンパ節に移動するが、Gr-1抗原量の少ない好中球は移動しないことが明らかとなった。このGr-1^<high>の好中球は暴露30分後再び腹腔内に集合しているが、その多くはアポトーシスを起していた。以上の検討成績から、好中球にはサブセットが存在することが明らかとなった。この2群からなるサブセットの中、どちらか又は両方がインフルエンザ菌の貪食・殺菌に関っているのかということが重要となる。インフルエンザ菌による感染症は免疫能の未成熟な3歳以下の乳幼児で発症し易い。このようなホストでは好中球の果たす感染防御は重要である。そこで、これら2つのサブセット好中球表面の抗原性について検討し、少なくもとCD80とCD25の発現量に明らかな違いを認めた。さらにこれら2群間でのmRNAの発現量にも違いを認めた。今後、この違いの解析により乳幼児にインフルエンザ菌感染症が起こり易い原因を明らかにしたい。一方、本菌種による髄膜炎の発症における、blood brain barrier(BBB)通過機序についてもin vitroで検討し、BBB構成細胞をTNFに曝すとこのBBBの通過性が高まることも確認している。
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