2004 Fiscal Year Annual Research Report
ウエルシュ菌α毒素の毒素活性と酵素活性の関係に対する分子生物学的及び構造学的解析
Project/Area Number |
16590376
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
櫻井 純 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (80029800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永浜 政博 徳島文理大学, 薬学部, 助教授 (40164462)
小林 敬子 徳島文理大学, 薬学部, 助手 (90170315)
津下 英明 徳島文理大学, 健康科学研究所, 教授 (40299342)
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Keywords | ウエルシュ菌 / α毒素 / スフィンゴミエリン / スフィンゴシン1-リン酸 / 溶血 / 結晶解析 |
Research Abstract |
ウエルシュ菌α毒素による溶血は、スフィンゴミエリン(SM)からスフィンゴシン1-リン酸代謝までの一連のSM代謝系が密接に関連していることを明らかにしてきた。一方、SMは、脂肪酸側鎖の種類によって多くの分子種が存在する事が推察されるので、毒素による溶血とSM分子種との間の関係を検討した。まず、ヒツジ赤血球膜からSM分画を精製し、LC/MA/MSにて18種類のSM分子種を同定した。そこで、その中の主要SM分子種であるパルミトイルSM、リグノセリルSM、そして、ネルボノイルSMをスキンド化赤血球とプレインキュベーション後、溶血を引き起こさない最大量の毒素をその前処理赤血球に作用させた。その結果、ネルボノイルSM前処理血球のみが溶血した。いずれの三種のSM分子種も、同様にセラミド(Cer)までは代謝されたが、ネルボノイルCer分子種のみがスフィンゴシン、そして、スフィンゴシン1-リン酸へ代謝された。従って、毒素によるネルボノイルSM代謝が溶血に密接に関係していることが明らかとなった。次に、α毒素のSMase活性が溶血作用など生物活性に重要な役割を演じていることから、セレウス菌SMase(Bc-SMase)の溶血とSM代謝系との関連性をα毒素の場合と同様の方法にて解析した。その結果、α毒素は、百日咳毒素感受性Gタンパクを介して内因性SMaseを活性化してSM代謝系を亢進して溶血作用を発現するが、Bc-SMaseは、その酵素自体の酵素活性によって血球膜内のSMをCerに分解して溶血を発現することが判明した。この相違を解析するため、両者の三次元構造の比較を試みた。α毒素の三次元構造は、既に、明らかにされているが、Bc-SMaseの構造は、解析されていないので、まず、Bc-SMaseの大量産生系を確立後、結晶化し、そして、解析した。現在、Bc-SMaseの構造の90%以上の解析が完了している。来年度には、解析が終了し、α毒素とBc-SMaseの比較が出来ると確信している。
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Research Products
(3 results)