2004 Fiscal Year Annual Research Report
赤痢菌の宿主細胞への侵入過程を調節するメカニズムの解析
Project/Area Number |
16590377
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
渡辺 治雄 国立感染症研究所, 細菌第一部, 部長 (70142130)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三戸部 治郎 国立感染症研究所, 細菌第一部, 研究員 (40333364)
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Keywords | 赤痢菌 / 細胞侵入性 / 貪食 / OspE2 / アクチン / エフェクター分子 |
Research Abstract |
S.sonneiにおけるOspE2の挙動についてウエスタン・プロット法による解析を行なった。その結果、S.sonneiのOspE2もTTSS依存的に産生されて、congo redにより活性化したTTSS依存的に分泌されることが明らかになった。次にλRed recombinase systemを用いてospE2破壊株を作成した。ospE2破壊株は、侵入の効率、タイミング、さらに侵入に主要な役割を果たすIpaB、IpaCの分泌量および産生量も野生型と同じレベルだったにもかかわらず、HeLa細胞に感染させると、細胞のroundingを引き起こした。ospE2は、TTSSのpost-invasionに機能すると考えられている遺伝子群のtranscriptional activatorであるmxiEに依存して転写が活性化された。蛍光染色の解析では、ospE2破壊株の感染によってroundingしたHeLa細胞はactin stress fiberが完全に消失していることが観察された。さらにospE2破壊株による感染HeLa細胞は、野生型で観察されたfocal adhesion蛋白vinculinの著しい集積が観察されなかった。したがって、ospE2破壊株によるroundingしたHeLa細胞はfocal contactsおよびactin stress fiberが影響を受けていることが示唆された。以上の結果から、Shigella sonneiのOspE2は、感染HeLa細胞において、細胞外マトリクスとの接着点であるfocal contactsや細胞骨格の形成に関わるactin stress fiberを保持する信号伝達系へ作用し、赤痢菌が細胞内に侵入後の細胞形態の維持に重要な役割を担うことが推察された。
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Research Products
(2 results)