2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16590394
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
安田 二朗 科学警察研究所, 法科学第一部, 室長 (10282518)
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Keywords | インフルエンザウイルス / 出芽 / 宿主因子 / ユビキチン / ウイルス様粒子 |
Research Abstract |
我々は、これまでにレトロ、ラブド、フィロウイルスの出芽解析を通じて、出芽に必須なウイルス側のエレメント(L-ドメイン)や出芽を制御する宿主因子を明らかにしてきた。これまでに得られた成績から、PPxY、PS/TAP、YPDLの何れかをL-ドメインとしてもつエンベロープウイルスの出芽は基本的には同一の機構、すなわち細胞内小胞輸送系の一つであるMVB sorting pathwayを利用していると考えられる。既知のL-ドメインモチーフをもたないエンベロープウイルスも類似の機構で出芽している可能性が高いと考えられるため、本研究では、インフルエンザウイルス(IFV)の出芽機構を解析し、ウイルス出芽の普遍性について検討した。 IFVはレセプターを介したエンドサイトーシスにより細胞内へ侵入するが、この際にMVB sortingと類似の機構が関与することが報告されている。そこで、感染初期過程をスキップした系であるVLP出芽系に出芽に関わる宿主因子として同定されているNedd4、Tsg101、Vps4及びそれらのドミナントネガティブ(DN)変異体を共発現させて、出芽過程におけるMVB sorting機構の関与を調べた。 その結果以下の成績が得られた。(1)M1のみの発現でVLP出芽が観察され、HA、NAの共発現によりその効率は著しく上昇する。(2)Nedd4、Tsg101とそれらのDN変異体、Vps4A、4Bをそれぞれ共発現させても出芽効率に変化は見られない。(3)一方、Vps4A、4BのDN変異体は予想に反して出芽を顕著に促進する。 以上の成績から、IFVはMVB sortingとは異なる機構で出芽する可能性が示唆された。現在、更に詳細に解析を進めている。
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Research Products
(3 results)