2005 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス型IRFによる抗インターフェロン作用の分子機構
Project/Area Number |
16590397
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
中村 浩幸 国立成育医療センター(研究所), 母児感染研究部, 室長 (70256866)
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Keywords | ヒトヘルペスウイルス8型 / HHV-8 / KSHV / vIRF1 / インターフェロン / p53 / ATM |
Research Abstract |
(1)野生型および変異型vIRF1を発現するヒト細胞株の樹立 ヒトB細胞株にF1p-In/TRExシステムを導入し、野生型および欠失変異型vIRF1遺伝子の誘導性発現を可能にした細胞株を樹立した。 (2)vIRF1によるがん抑制遺伝子p53蛋白質の発現抑制 上記ヒトB細胞株におけるvIRFI発現系を用いた解析により、vIRF1発現にともなってがん抑制遺伝子産物p53蛋白質の発現量が低下することを見出した。vIRF1によるp53蛋白質の発現抑制は、p53mRNA量の低下によるものではないことがRNase Protection Assayによって確認された。一方、vIRF1の発現にともない、p53蛋白質のユビキチン化が亢進すること、およびp53蛋白質のSer15のリン酸化レベルが低下することを見出した。 (3)vIRF1に会合する宿主蛋白質ATMの同定 vIRF1によるp53蛋白質のユビキチン化亢進の分子機構を明らかにするために、vIRF1に会合する宿主蛋白質の同定を行った。その結果、vIRF1の転写活性化ドメインを介して、宿主蛋白質ataxia telangiectasia-mutated(ATM)が会合することが明らかとなった。さらに、ATM蛋白質にvIRF1蛋白質が会合することによって、エトポシドによるATMの活性化(Ser1981のリン酸化)が抑制されることが示された。 以上の知見から、vIRF1はATMと会合することでATMの活性化を阻害し、その結果p53の活性化(Ser15のリン酸化)を抑制する。さらに、vIRF1によるp53活性化の抑制にともなって、p53のユビキチン化が促進され、p53の分解が亢進するものと考えられた。
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Research Products
(3 results)