2004 Fiscal Year Annual Research Report
胸腺髄質上皮細胞の増殖分化と免疫寛容誘導機構の解明
Project/Area Number |
16590400
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
秋山 泰身 東京大学, 医科学研究所, 講師 (50327665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 純一郎 東京大学, 医科学研究所, 教授 (70176428)
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Keywords | 自己免疫疾患 / 胸腺 / NF-κB / TNFレセプター / T細胞 / 自己抗体 / TRAF / ストローマ |
Research Abstract |
本研究はTNF-receptor associated factor(TRAF6)欠損マウスで見られる胸腺構築異常と様々な臓器での炎症様細胞浸潤の関連を解析することで、胸腺構築、特に髄質上皮細胞の増殖分化の機構および胸腺上皮細胞による免疫寛容誘導のメカニズムを解明することを目的としている。本年度はTRAF6欠損マウスの臓器に浸潤している細胞の同定、TRAF6が胸腺上皮細胞においてその分化を制御していることの証明、そして胸腺上皮細胞のTRAF6が自己免疫寛容に必須であることの証明を目指して研究を行った。 TRAF6欠損マウスの肺に存在する細胞を解析したところ、CD4、CD44、CD69陽性の活性化T細胞が野生型に比べ、顕著に増加していた。さらに血清中のIgM量が野生型に比べ約10倍に上昇していた。以上の結果は、TRAF6欠損マウスでは自己組織への免疫寛容が破綻しており、自己反応性T細胞の産生がその原因であることを示唆している。また胎仔胸腺ストローマをヌードマウスの腎皮膜下に移植する実験を行った。移植したTRAF6欠損胸腺はTRAF6欠損マウスの胸腺と同様にUEA-1陽性の成熟髄質上皮細胞の欠損、およびKeratin-5陽性髄質上皮細胞の散在がみられた。さらにTRAF6欠損胎仔胸腺ストローマを移植したヌードマウスでは肺、肝臓、膵臓、腎臓に細胞浸潤を認めるとともに、血清中に自己組織反応性抗体が存在することが判明した。以上の結果は、胸腺髄質上皮細胞内で機能するTRAF6依存性シグナルが胸腺髄質上皮細胞の分化を制御しており、さらには自己免疫寛容誘導に必須であることを強く示唆している。以上、本年度において解明を目指した課題は完遂され、その結果は学術雑誌Scienceに掲載予定である。 またTRAF6と相互作用し免疫反応を制御する可能性を有する新規分子TIFABの解析を行い報告した。
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Research Products
(2 results)