2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規粘膜免疫制御分子MICAの免疫学的恒常性維持機構の解明
Project/Area Number |
16590406
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高橋 一郎 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (20206791)
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Keywords | 粘膜免疫 / MICA / 腸上皮細胞間リンパ球 / 炎症性腸疾患 / IL-15 / NKG2D |
Research Abstract |
腸管局所MICA-トランスジェニック(Tg)マウスの、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)投与による大腸炎誘発に対する感受性を検討した結果、DSS投与開始直後より投与終了14日めまでの観察期間を通じて、MICA-Tgマウスの体重減少は対照C57BL/6マウスに比べて軽微であった。DSS投与MICA-Tgマウスでは下痢,脱肛、hunched postureなどの、臨床所見も対照C57BL/6マウスに比べて軽微であった。また病理組織学的にも、DSS投与MICA Tgマウスでは,対照C57BL/6マウスに比べて大腸粘膜における炎症性所見および粘膜固有構造の消失が軽度であった。粘膜組織の再生も対照C57BL/6マウスに比べてすみやかであった。抗MICA mAb (clone 6D4)を用いた免疫組織化学的な解析より、無処置MICA Tgマウスでは大腸粘膜上皮の基底側にMICAが発現していることが確認された。DSS処置MICA Tgマウスでは炎症の進展とともにMICAの発現が消退するが、粘膜組織の再生とともにMICAの発現が回復することが明らかになった。DSS投与後、対照C57BL/6マウスの大腸粘膜固有層リンパ球ではTNF-α,IL-6,MCF-1などの炎症性サイトカインの産生が著しく亢進したが、DSS投与MICA Tgマウスの大腸粘膜固有層リンパ球では同炎症性サイトカインの発現は対照マウスに比べて著しく減弱していることが観察された。以上の成果より、MICAは粘膜におけるホメオスタシス逸脱マーカーとして、粘膜内リンパ球の発達を統御するばかりでなく、粘膜内リンパ球の機能制御を介して粘膜における免疫学的恒常性の維持に寄与していることが明らかになった。
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