2004 Fiscal Year Annual Research Report
GALT形成異常ミュータントマウスの検出と変異遺伝子の同定
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16590416
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
吉田 尚弘 独立行政法人理化学研究所, 免疫遺伝研究ユニット, ユニットリーダー (20281090)
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Keywords | GALT / パイエル板 / ENU / ミュータントスクリーニング |
Research Abstract |
平成16年度は当初の実験計画に基づき、ENU誘導ミュータント胎仔及び成体の表現型解析を行った。 平成16年4月より平成17年1月まで(報告書作製時点で解析済みのものとして)のスクリーニングで、胎仔表現型として胎生17日令で27家系より1855匹について検討し、このうち1725匹についてホールマウント免疫染色による末梢リンパ器官原基発生検索を、さらに胎仔肝臓及び胸腺のフローサイトメトリー解析による血球プロファイル解析を行った。この結果、214匹に何らかの表現型を、さらに同一表現型でまとめると77系統についてミュータントと思われる表現型を認めた。 これらのうち、8系統、18匹について末梢リンパ器官形成不全を認めた。8系統すべてでVCAM-1発現によるパイエル板原基形成が認められず、5系統では腸間膜リンパ節原基の発生不全も確認された。また、5系統で眼球欠損、頭蓋骨形成不全、下顎骨欠損などの形態異常が認められた。同一家系の成体スクリーニングを16週令で施行したが(1系統は予定週令に達していないため未実施)、成体では末梢リンパ器官形成不全個体を確認できなかった。 以上のことから、パイエル板原基形成に重要な役割を持つ8つの遺伝子についてそれぞれミュータント系統を含む家系を同定できた。これらについては家系内交配によるheteroマウスの同定作業を現在進めている。 一方、平成16年8月より平成17年2月までに行われた20家系、1260匹の16週令成体表現型検索ではパイエル板を含むGALTの形成不全を認めたのは2個体のみであった。いずれも盲腸の形成不全と盲腸板の欠損表現型であったが、それぞれ別家系で発見されたことからgeneticかepigeneticかについては再生産による検討の必要がある。 以上のように豊富な成果が得られたことから、来年度も本実験計画を引き続き進めて行く予定である。
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