2005 Fiscal Year Annual Research Report
筋萎縮性側策硬化症患者の事前意思表示とQOLに関する研究
Project/Area Number |
16590417
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 道哉 東北大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (70221083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濃沼 信夫 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60134095)
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Keywords | 事前指示 / 筋萎縮性側索硬化症 / 自己決定 / QOL / ガイドライン / 法制化 / 法的根拠 / インフォームドコンセント |
Research Abstract |
目的:筋萎縮性側索硬化症(ALS)療養者の事前指示に関する意識・実態を調査し,神経内科医師・看護職の回答と比較することで、QOL向上に資する事前指示の在り方を検討する。 結果:(1)事前指示のメリット(複数回答)は、患者回答(N=300)では「本人の希望を叶えるために話し合いがなされる」18%、「本人の希望に添って治療が進められる」16%、「自己決定の内容が共有される」15%、「本人、家族、医療者のコミュニケーションが良くなる」14%、「望まない治療を強要されない」12%の順である。看護職(N=305)、医師(N=265)回答ともほぼ同様である。(2)事前指示が普及しない阻害要因(複数回答)は、患者回答では「医師のみが治療方針を決める場合がある」、「自己決定になれていない」、「決定内容が周知されない」、「書式が標準化されていない」、「法的根拠がない」の順であるが、医師では、「法的根拠がない」ことを問題視する傾向が見られた。(3)事前指示普及の方策について(複数回答)は、患者回答では「情報を充実させる」24%、「告知を推進する」18%、「内容更新、書き換えを確認する」11%の順であるが、医師は、「告知を推進する」19%についで「法的根拠」17%を重要視している。(4)事前指示の提示方法であるが、患者回答では「口頭」「書面」「病院独自の書式」「手書きメモ」の順であり、口頭と書面がほぼ拮抗している。事前指示内容の書き換えの有無は、患者回答で約3割が有りと回答しているものの、最大値は3回である。 結論:調査から、意思決定の前提となる告知のあり方、事前指示の法的根拠、有効性の遡及期限、提示方法、書き換えの促進等の課題が明確となった。ALSの事前指示は、今後普及が望まれるが、患者・家族と医療者の間には認識の相違がみられる部分もあり、患者の視点に立ったガイドラインの策定が喫緊の課題であると考える。
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Research Products
(7 results)