2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16590434
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
林 京子 富山大学, 大学院医学薬学研究部, 助手 (60110623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 利光 富山大学, 教授 (40092796)
李 貞範 富山大学, 助手 (40332655)
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Keywords | ヒトコロナウイルス / 糖蛋白質 / モノクローナル抗体 / ウイルス活性 / 作用標的 |
Research Abstract |
1)ヒトコロナウイルス増殖段階の評価方法の検討 これまでに、ヒトコロナウイルスの増殖を阻害する候補物質を幾つか同定してきた。その中で最も強力な阻害効果を示した物質は、ウイルス増殖の初期段階、すなわち宿主細胞へのウイルスの結合(吸着)及びその直後に起こる細胞内への侵入、またはその一方を干渉する可能性が高いことが示唆された。しかし、コロナウイルスの吸着段階や侵入段階に対する阻害効果を確実に評価できる方法はこれまでに報告がない。そこで、ヘルペスウイルスで用いられている手法を基本にして、吸着及び侵入の各段階の評価系を検討した。その結果、プラークアッセイが可能なヘルペスウイルスに比べて操作が煩雑ではあるが、コロナウイルス感染細胞の希釈系列を作成した上で、細胞変性効果(CPE)を指標にすることによって、これらの増殖段階を個別的に、かつ、再現性をもって評価できることを確認した。 2)コロナウイルス増殖阻害物質の作用標的の解析 これまでに、200種類以上の高分子物質及び低分子物質について、細胞毒性とCPEを指標にして、選択的にコロナウイルス増殖阻害効果を評価してきた。高分子物質と低分子物質のそれぞれから、選択的効果を示す物質を見い出した。これらの物質がコロナウイルスのいずれの増殖段階を特異的に阻害するのかを明らかにするために、上記1)に述べたウイルスの吸着阻害アッセイや侵入阻害アッセイを含めた種々の手段で検討を加えた。高分子物質はいずれも、吸着段階ではなく侵入段階を干渉するという結果を得ており、これは、同一物質がヘルペスウイルスの吸着及び侵入段階のいずれも阻害するという結果と比較すると、コロナウイルスとヘルペスウイルスではウイルス吸着に関与するレセプターの違いが反映されていると考えられる。一方、低分子物質の一部には、侵入段階を強力に阻害するものがあり、現在、モノクローナル抗体を用いてその作用特性を分析中である。
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