2005 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症に関わるニコチン受容体の遺伝子多型と機能異常の解析
Project/Area Number |
16590435
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
恒枝 宏史 富山大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (20332661)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉知 正佳 富山大学, 医学部, 教授 (80019603)
角田 雅彦 富山大学, 附属病院, 助手 (30322762)
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Keywords | ニコチン受容体 / アセチルコリン / 統合失調症 / 一塩基多型(SNPs) / 遺伝子多型 / 脱感作 / プロテインキナーゼC / リン酸化 |
Research Abstract |
1.日本人統合失調症患者(104名中1名)に見出したα7ニコチン受容体遺伝子CHRNA7のミスセンス変異が受容体の機能に及ぼす影響を明らかにするため、その変異受容体(423番目のグリシンをセリンに置換した受容体:G423S)をアフリカツメガエル卵母細胞に発現させ、薬理学的特性を電気生理学的に検討した。プロテインキナーゼC(PKC)活性化剤phorbol-12-myristate-13-acetate(PMA)存在下でアセチルコリンの高頻度刺激を行った結果、変異受容体においてのみ、脱感作の亢進が認められた。この現象はPKC阻害剤calphostin Cの前処置により消失した。さらに、PMA処置後にα7受容体のセリンリン酸化をWestern blot法で検出した結果、変異受容体においてのみ、リン酸化レベルの増大が認められた。このように、G423S変異受容体のPKCによるリン酸化は受容体の脱感作を引き起こし、統合失調症におけるα7ニコチン受容体の機能低下の一因となる可能性が示された。 2.ヒト小脳cDNAライブラリーから、機能の未知なα7ニコチン受容体の重複遺伝子CHRFAM7AのcDNAをクローニングして発現ベクターに組み込み、COS細胞、ヒト神経芽腫細胞SH-SY5Yおよびツメガエル卵母細胞に導入した結果、タンパクに翻訳されることをWestern blot法で明らかにした。 3.培養ラット大脳皮質神経細胞を電気刺激し、活動依存的な遺伝子発現機構を検討した結果、シナプスの可塑性に関わる脳由来神経栄養因子BDNFのmRNA発現がPI3キナーゼおよびMAPキナーゼを介して誘導されることを明らかにした。また、不死化視床下部神経細胞をニコチン刺激すると、視床下部ホルモンGnRHの遺伝子発現が誘導され、その機構にはα7ニコチン受容体が関与していることが示された。
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Research Products
(2 results)