2005 Fiscal Year Annual Research Report
カルシニューリン阻害薬による進行性腎間質障害の発症機序と治療戦略
Project/Area Number |
16590440
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
三浦 克之 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00183624)
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Keywords | ヘムオキシゲナーゼ / 腎毒性 / 腎線維化 / NF-kappaB |
Research Abstract |
以前より炎症に関連の深い転写因子NF-κBの抑制によりシクロスポリンやタクロリムスなどのカルシニューリン阻害薬長期投与で生じた腎間質の炎症および線維化が著しく軽減されることを示しており、進行性腎障害の規定因子である腎線維化に対する治療戦略として炎症抑制が重要と考えた。一方、炎症のトリガーとして酸化ストレスの重要性は良く知られている。さらに酸化ストレスによりheme oxygenase-1が誘導されるが、本酵素は組織防護的に作用すると共に抗炎症作用も知られている。そこで腎線維化モデルである一側尿管閉塞ラットを用いて、あらかじめheme oxygenase-1を誘導した際に腎間質の炎症および線維化がどのように影響されるかについて検討を行った。コバルトプロトポルフィリンCoPPの投与により腎heme oxygenase-1の遺伝子発現ならびに蛋白量は増加し、増加したheme oxygenase-1は主として浸潤したマクロファージに存在した。尿管閉塞によって生じる間質へのマクロファージの浸潤はCoPPによりむしろ増加するにも拘わらず、細胞外基質であるコラーゲンIIIの遺伝子発現はCoPPにより有意に抑制された。以上の結果からheme oxygenase-1の誘導は腎線維化に対し、抑制的に作用すること、この作用にマクロファージで発現するheme oxygenase-1が重要である事が示唆された。次に抗炎症作用を有するバイオフラボノイドであるクルクミンの腎線維化に対する効果についても一側尿管閉塞ラットを用いて検討した。その結果、炎症抑制効果ならびに腎線維化抑制効果が見られ、転写因子NF-κBの抑制が重要であるがAP-1は関与しないことがわかった。
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Research Products
(4 results)