2005 Fiscal Year Annual Research Report
白血病細胞に発現するNotch蛋白の機能解析による予後予測法
Project/Area Number |
16590446
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
東田 修二 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (80251510)
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Keywords | Notch / 白血病 / Jagged / Delta |
Research Abstract |
患者から採取した急性骨髄性白血病細胞を用いて、Notchシグナル活性化の、白血病細胞の増殖、自己再生、分化に対する作用を検討した。Notchリガンド(以下、NL)であるJagged1蛋白やDelta1蛋白により、白血病細胞上のNotch蛋白を活性化させたところ、増殖が促進される例、抑制される例、有意な変化がない例を認めた。自己再性能は、抑制される例と有意な変化がない例を認めた。一部の白血病細胞では単球様細胞への分化が認められた。このように、Notch活性化は患者ごとに多様な作用を及ぼすことがわかった。正常造血細胞に対してNotch活性化は自己再性能を亢進することが報告されている。これらより、症例を選択することにより、Notchシグナル抑制が白血病の新たな分子標的治療となる可能性を見出した。なお、患者予後と、NLに対する反応性とは、現時点では有意な関連性は認めておらず、今後も臨床経過を追跡する予定である。(Experimental Hematology 2005) 急性前骨髄球性白血病細胞のレチノイン酸により好中球分化とアポトーシス誘導が、Notchシグナル活性化によって、単球様に分化の方向性が変わり、アポトーシスが軽減することを見出した。この作用がみられた細胞では、レチノイン酸によるカスパーゼとPARPの活性化を、Notchシグナルが抑制することを見出した。こうした現象は、急性前骨髄球性白血病に対するレチノイン酸療法の、感受性の個人差に関与する可能性がある。(Leukemia Research 2005) さらに、NLをコーティングした培養プレートを用いて、白血病細胞の抗癌剤感受性試験を行うと、一部の細胞で感受性が低下することを見出した。NLのコーティングにより、培養環境が骨髄に、より近くなると考えられる。(Oncology Reports 2005)
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Research Products
(3 results)