2005 Fiscal Year Annual Research Report
結核患者における結核菌細胞集団の多様性と多剤耐性結核菌出現の機序解析
Project/Area Number |
16590461
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
山根 誠久 琉球大学, 医学部, 教授 (80125682)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
潮平 知佳 琉球大学, 医学部, 助手 (50325833)
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Keywords | M. tuberculosis(結核菌) / 多様性解析 / DNA制限酵素切断パターン / 多剤耐性結核菌 / 薬剤耐性変異 / 結核菌単離クローン / in vitro相乗作用 / 三次元相互効果 |
Research Abstract |
結核菌細胞集団の多様性解析:初回結核治療患者を含む結核患者に由来する検体をMiddlebrook 7H11寒天培地に直接接種し、寒天平板上に形成された結核菌コロニーを個々に単離して、薬剤感受性試験と薬剤耐性に関与する遺伝子変異の有無、染色体DNAの制限酵素切断パターン解析(RFLP)を行った。その結果、均一な薬剤感受性パターンを示す結核菌細胞集団を含む検体と、多様な薬剤感受性パターンを示す菌細胞集団を含む検体に区分され、一部薬剤に耐性化した菌細胞を含む場合には、その薬剤耐性に関与する遺伝子変異が確認された。また、同一の検体より単離された複数の結核菌コロニーのRFLP解析では、初回結核治療患者に由来する検体を含め、ほとんどの検体で多様なRFLPパターンを観察した。以上の成績から、(1)結核菌の初感染から発症までの経過が多クローン性に成立している可能性,(2)治療中あるいは治療後の検体には,表現型,遺伝子型として極めて多様な結核菌細胞集団が含まれていることが明らかとなった。 多剤耐性結核菌における複数薬剤の併用効果:Broth液体培地を用いる微量液体希釈法を応用し、多剤耐性結核菌に対する複数薬剤の併用効果をin vitroで定量的に解析した。抗菌薬の段階的濃度勾配で構成するチェッカー・ボード法を三次元に展開し、rifampicin(RFP)とisoniazide(INH)の組み合わせに、さらに第三の薬剤を添加し、培養後の菌発育終末点を判読してその効果を判定した。その結果、検討した28薬剤の内、9薬剤において有意の相乗効果が観察され、特に抗結核薬とはみなされていないfluoroquinolone、clarithromycinもRFP、INHとの併用で多剤耐性結核菌に対し有効な相乗効果を示した。この結果は生菌数を定量するtime-kill assayからも支持された。
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