2006 Fiscal Year Annual Research Report
粥状動脈硬化性プラーク破綻の予知的診断法に関する研究
Project/Area Number |
16590463
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
狩野 有作 北里大学, 医学部, 講師 (50245388)
|
Keywords | 臨床検査医学 / 病理学 / 予防医学 / 内科 / 循環器・高血圧 |
Research Abstract |
1.頚動脈エコーによるプラーク性状の解析 北里大学病院超音波検査室の設置の超音波断層装置(アロカ社製SSD-5500)、7.5MHzリニア型探蝕装置を用い、B-modeおよびPower Doppler法(ドプラ入射角<60度)により、両側総頸動脈・内頸動脈を長軸および短軸操作で解析した。糖尿病、高血圧、高脂血症などの動脈硬化症の危険因子を有する約2,000例について、両側総頸動脈・内頸動脈の超音波検査を施行し、IMT(内中膜複合体)、% stenosis(狭窄率)、Pulse wave velocity(脈派)を計測した。プラークは性状により、echolucent type(透明型)、echogenic type(繊維型)、calcification type(石灰型)、ulcer type(潰瘍型)の4段階に分類した。その結果、プラーク性状は動脈硬化の進行に伴い透明型、繊維型、石灰型、潰瘍型の順に悪化し、潰瘍型はプラークが破綻し脳梗塞を発症する危険率が高かった。さらに、動脈硬化の進展と危険因子との関連性では、糖尿病と高血圧の合併例で動脈硬化の進展度が高かった。 2.末梢血管脈派(brachial-ankle PWV (baPW))の測定 血管壁の硬化度を反映するbaPWVは、高血圧例で最も高値を示した。2危険因子例では糖尿病と高血圧の合併例で高値傾向を示し、これらの危険因子は動脈硬化の進展度への影響が強いと考えられた。 3.血中脂質関連マーカーおよび炎症マーカーの測定 T.cho(総コレステロール)およびTG(中性脂肪)は酵素法により、LDL-choは酵素的測定法を,HDL-choは直接的法を用いて測定した。酸化LDLの一種であるMDA-LDLは抗MDA-LDLモノクロナール抗体と抗apo-Bモノクロナール抗体を用いたsandwich ELISAにより測定した。MMPsは抗ヒトモノクロナール抗体を用いたone-step sandwich ELISAにより定量した。炎症マーカーとしてhsCRP(高感度CRP)を測定した。T.cho/HDL-C ratio、LDL-C/HDL-Cratio、MDA-LDL/LDL-C ratioなどの脂質関連マーカーおよびhsCRPは動脈硬化が進展するに伴い増加を示した。さらに、軽度動脈硬化病変群で健常対照群と有意差を示し、これらの変化が早期の動脈硬化性変化を反映することが考えられた。 4.MMP-2,MMP-9遺伝子解析 MMP-2遺伝子において、5'UTR上流2kbを含む領域をPCRにより増幅し、得られたPCR増幅産物を鋳型として2nd PCRを行った。この2nd PCR増幅産物の塩基配列解析を行い、解析結果に基づきSNPの遺伝子型を決定した。また、MMP-9遺伝子では、ATG上流約-90に位置するマイクロサテライトを含む領域を蛍光標識プライマを用いてPCRにより増幅した。得られた蛍光標識PCR増幅産物のフラグメント解析を行い、サイズ分離パターンに基づき遺伝子型の分類を行った。
|