2004 Fiscal Year Annual Research Report
オーダーメイド予防のための食品成分による発がん予防機構の解析
Project/Area Number |
16590479
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
曽和 義広 京都府立医科大学, 医学研究科, 講師 (70315935)
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Keywords | ゲニステイン / アピゲニン / p53 / G2 / M期 / Gadd45 / p21 / WAF1 / CCAAT / NF-Y |
Research Abstract |
植物由来の食品成分であり、がん予防効果が期待されていた二種類のフラボノイド、ゲニステイン及びアピゲニンによる癌細胞への増殖抑制効果とその作用機構を明らかにした。 ゲニステインはヒト前立腺癌細胞DU145の増殖を濃度依存性に抑制し、G2/M期にて細胞周期を停止させる事を見いだした。G2/M期の細胞周期停止に関与する分子であるGadd45分子に着目したところ、Gadd45はタンパク質レベル及びmRNAレベルにおいて、ゲニステインの濃度依存的、時間依存的に誘導される事が認められた。更に詳細な検討を進めたところGadd45の誘導はgadd45遺伝子プロモーターを活性化するものであり、その作用はgadd45遺伝子プロモーターにおけるCCAAT配列に結合する転写因子NF-Yの結合を増強することにある事が認められた。Gadd45はp53標的遺伝子の一つであるが、DU145はp53変異型癌細胞であるので、ゲニステインの効果はp53非依存的と考えられる。 アピゲニンはヒト大腸癌細胞HT29細胞及びヒト骨肉腫細胞MG63の増殖を濃度依存性に抑制し、G2/M期にて細胞周期を停止させる事を見いだした。G1期及びG2/M期の細胞周期停止に関与する分子であるp21/WAF1分子に着目したところ、p21/WAF1はタンパク質レベル及びmRNAレベルにおいて、アピゲニンの濃度依存的、時間依存的に誘導される事が認められた。しかしながらp21/WAF1遺伝子のプロモーターの活性化は認められなかった事から、アピゲニンの作用はp21/WAF1 mRNAの安定性を増加させるものか、あるいはp21/WAF1遺伝子のプロモーター領域以外の領域への作用が予想される。p21/WAF1もp53標的遺伝子の一つであり、HT29、MG63ともp53変異型癌細胞であるので、アピゲニンの効果もp53非依存的と考えられる。
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