2005 Fiscal Year Annual Research Report
トリフェニル錫による催糖尿病作用の機序解析、特にATP及びcAMPが関与する系
Project/Area Number |
16590480
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
三浦 善憲 獨協医科大学, 医学部, 助教授 (20049240)
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Keywords | トリフェニル錫 / 糖尿病 / インクレチン / 細胞内Ca^<2+> / 細胞内Na^+ / インスリン分泌 / ジアゾキシド / 高K^+ |
Research Abstract |
今年度はハムスターに塩化トリフェニル錫(60mg/kg・体重)を投与し、2日後に分離した膵ラ氏島、膵ラ氏島細胞を用いて、下記の実験を行い結果を得た。 1)インクレチン(GLP-1,GIP)刺激後のラ氏島細胞内Ca^<2+>とNa^+及びインスリン分泌 トリフェニル錫投与群は、細胞外Na^+とグルコース存在下で10nMGLP1,GIP刺激によるインスリン分泌、細胞内Ca^<2+>,Na^+の増加を抑制した。またトリフェニル錫投与群は、10μMフォルスコリン(アデニレートシクラーゼの活性化剤)刺激によるcAMP、インスリン分泌、細胞内Ca^<2+>,Na^+の増加を抑制した。トリフェニル錫投与群は、細胞外Na^+存在下で50μM6-Bnz-cAMP{プロテインキナーゼA(PKA)活性化剤}、50μM 8-pCPT-2'-O-Me-cAMP(PKA非依存性cAMP類似体)によるインスリン分泌、細胞内Ca^<2+>,Na^+の増加を抑制した。 2)K_<ATP>チャネルが関与しない系での膵ラ氏島細胞内Ca^<2+>とインスリン分泌 トリフェニル錫投与群は、対照に比し、250μMジアゾキシド(Dz)(K_<ATP>チャネル開口剤)と30mM K^+存在下で15mMグルコース刺激後の細胞内Ca^<2+>、イヒスリン分泌を有意に増強した。またトリフェニル錫投与群は、250μMDz、30mM K^+と15mMグルコース存在下で100μMアセチルコリン(ACh)刺激による細胞内Ca^<2+>,Na^+、インスリン分泌を増加した。しかし、トリフェニル錫投与群は250μM Dz、30mM K^+と8mMグルコース存在下でGLP-1刺激による細胞内Ca^<2+>、細胞内のNa^+、インスリン分泌に対照と差が認められなかった。 以上の結果より、トリフェニル錫でハムスターに発症する糖尿病の機序のひとつにインクレチン刺激後のPKA依存性、非依存性の機構が関与した膵ラ氏島B細胞内のCa^<2+>、Na^+の増加不足によるインスリン分泌の低下も関与していることが示唆された。しかし、トリフェニル錫投与後のハムスターにおいてK_<ATP>チャンネルが関与しないインスリン分泌において、AChの作用を増強することにより、膵ラ氏島細胞からのインスリン分泌を増加する機構があることが認められた。論文は、現在作成途中です。
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